米政府機関は2021年までの5年間に2800万ドル以上を共同研究などの名目で中国の団体に提供していた。米政府説明責任局(GAO)が9月29日に発表した報告書で明らかになった。調査を依頼した議員らは、把握金額は「氷山の一角」に過ぎないとし、さらなる働きかけが必要だとした。
報告書によると、GAOが調査した5つの機関のうち米疾病対策予防センター(CDC)、国立衛生研究所(NIH)、国防総省(DOD)は大学やその他の研究機関を含む中国の団体に総額2890万ドルを提供していた。うち84%は香港大学や北京大学、中国疾病管理予防センター(中国CDC)が受けていた。
また資金提供は、ワクチン接種研究や新薬開発など複数の科学分野に集中していたほか、「ドローンなどの乗り物を推進する代替技術」などの分野も含まれていた。
調査は、下院共和党会議のエリス・ステファニック議長と下院外交委員会の共和党トップであるマイケル・マッコール氏から依頼を受けて実施された。両議長はGAOに対し、中国共産党が支配する団体に提供された共同研究用の公的資金や、多国間機関への米国の拠出金について調査するよう要請していた。
マッコール氏は大紀元に寄せた声明の中で、バイデン政権が「トランプ政権下で始まった中国での連邦政府支出を追跡する行政管理予算局の取り組みを停止した」と非難。これからも「中国共産党の手に渡っている全ての資金を追跡し、阻止するために働き続ける」と述べた。
過去5年間、NIHとCDCから500万ドル近くを受け取っていた中国CDCは、新型コロナウイルスの大流行時も米国からの協力の申し出を断るなど、初期対応の遅れが指摘されている。ステファニック氏は大紀元の取材に対して「新型コロナ大流行を通じて、中国が信頼できるパートナーではないことを確信した」と述べた。
中国共産党による知的財産の窃盗活動が深刻化するなか、中国の国立大学への資金提供は依然として大きな議論を読んでいる。また、こうした慣行は世界トップの科学技術強国を目指して、外国から科学技術分野で優秀な人材を集める中国政府主導の「千人計画」などと並行して行われていることから、各国は対策強化が求められている。
GAOの報告書によると、2015年度から2021年度までの中国法人への22件の資金提供のうち、2022年7月時点で5件は継続中だという。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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