中国・南京市に本社を置く証券会社・華泰証券はこのほど、最新の報告書で、アジアなどでは新型コロナウイルスのオミクロン株派生型「BA.5」はインフルエンザよりも致死率が低いと発表した。ただ、同報告書は、発表後まもなく当局によって削除された。
データはオーストラリア、日本、韓国、シンガポール、ベトナム、インドネシア、香港などの国・地域から収集された。『新型コロナウイルス:海外における変異株の死亡率がインフルエンザより低い可能性』と題した同報告書は、アジア太平洋地域では「BA.5」の感染率は上昇傾向にあるものの、重症化する割合や死亡率は大きく低下していると指摘した。
一部の国では、死亡率が0.1%を下回り、インフルエンザの場合よりも低くなっているという。
報告書はさらに、ウイルスの弱毒化は「ほぼ確実な傾向」にあり、アジア地域はコロナ規制をより一層緩和し、ポスト・コロナへと向かっていると強調した。
同報告書が中国のSNS上に転載されると、広く拡散され話題を呼んだ。しかし、報告書はすぐに中国当局のネット検閲に遭い、閲覧ができなくなった。
中国のネットユーザーは当局の対応に対し、
「もしデータが事実ではないのであれば訂正広告を出せばよいのではないか。なぜ市民に知られたくないのか」
「コロナ感染症の真実について報告書はすべて明らかにした。これ以上感染症対策を続けるのであれば、ほかの目的があるはずだ」などを書き込んだ。
さらに、報告書が検閲されたのは、中国当局が推し進める厳格なゼロコロナ政策と相反することが原因だとする声もある。
現在、中国では70を超える都市で都市封鎖が実施されており、3億人に影響が出ている。
市民の不満が政府に向くことを恐れたため、報告書が削除されたとみられる。
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