米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は22日、「中国は権威主義的な統治を維持するため、どのように監視技術を駆使しているか」について調査報告書を発表した。
NYTの調査チームは、1年以上かけて調査を行い、10万件以上の政府入札書類を分析した。
同報告書で、中国政府は「統治維持」のために、個人情報、行動履歴、社会関係などを含む世界最大のDNAデータベースを構築しようとしていると指摘した。
世界に約10億台ある監視カメラの半数以上が中国国内に設置されているという。中国の31の省や地域で携帯電話の追跡技術が利用されている。
中国全土に張り巡らされた監視カメラのほとんどが顔認証技術を含むAIに適合しており、監視設備は公共の場所以外にも、民間企業などでも設置されている。
中国南部の福建省福州市の警察はアメリカ系ホテルのロビーに監視設備を設置しようとしていたことが調査で判明した。。取得したデータを分析ソフトに送り、個人の民族、性別、メガネやマスク着用の有無などの情報を収集している。
福州市の警察は、シェラトンホテル内のカメラへのアクセスも要求していたことが文書で示されている。同ホテルの親会社であるマリオット・インターナショナルの広報担当者は、タイムズ紙への電子メールで、2019年に地元政府が監視カメラの映像を要求し、同社は法執行機関との協力に関する規定を含む地元の規制を遵守していると述べた。
データは政府のサーバーに保存されている。福建省のある入札資料によると、警察は、常時25億枚の顔画像を保存していると推定する。
報告書は「中国の公安部門は携帯電話などを個人の追跡監視に利用して情報収集を行い、国民一人ひとりの個人情報や活動、社会的つながりを最大限に把握しようとしている」と指摘した。
2017年の北京の入札文書では、警察はスマホトラッカーを利用して、中国の人気ソーシャルメディアアプリでスマホ所有者のユーザー名を収集させたいと書いていた。別のケースでは、広東省のある県の警察が、スマホに搭載されたウイグル語から中国語への辞書アプリを検出することを期待して、スマホトラッカーを購入したことが入札書類で明らかになった。この情報は、厳しく監視され、抑圧された少数民族であるウイグル人の携帯電話である可能性が高いことを示している。
中国の警察は、男性のDNAサンプルも広く収集している。
当局は統治を維持するために、その監視・摘発システムの威力を見せつけて大衆に恐怖心を植え付け、不満を抑え込んでいる。
中国は「社会の完全管理」を目標に、最先端技術を導入した徹底した社会監視システムの整備が進んでいる。
(翻訳編集・李凌)
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