中国当局、広州市長らを更迭 恒大集団が原因か

2021/12/08
更新: 2021/12/08

中国当局の発表によると、広東省広州市の共産党委員会書記と市長が3日に更迭された。2トップの同時解任は極めて異例である。同省深セン市に本社を構える不動産開発大手、恒大集団の債務危機問題が背景にあるとの見方が上がっている。

広州市第15期人民代表大会(市議会に相当)常務委員会は3日、温国輝市長の辞任届を受理し、郭永航・広東省副省長を副市長兼代理市長に任命した。同日、中国当局は張碩輔・市党委員会書記の職も解いた。後任に林克慶・広東省副省長を充てた。

香港紙・星島日報は4日、更迭理由は、昨年末以降の広州市内でのガジュマル大量伐採に市民の不満が高まったことにあると報道した。

いっぽう、セルフメディア「財経冷眼」は5日、星島日報の分析は「あり得ない」と指摘した。

「中国では、市民の不満や陳情で失脚した高官を見たことがない。広州市のトップは下級レベルの幹部ではないため、普通の汚職問題でさえ失脚しないはずだ。高官が失脚する唯一の理由は権力闘争か、または党内のある掟を破ったことにある」

「財経冷眼」は、「何か大事件が発生したために、温氏と張氏が連帯責任で同じ日に罷免された可能性がある」と推測した。

不動産開発大手の恒大集団は3日、2億6000万ドルの社債について返済できないと示唆する声明を発表した。これを受けて、広東省政府は同日夜、恒大集団にリスク処理などに向けた作業チームを派遣すると公表した。

「財経冷眼」は、恒大集団が中国不動産セクターの大手企業まで成長できたのは、中央政府の振興政策や広東省など地方政府の後押しがあったからだと指摘し、恒大集団は広東省政府、広州市政府、深セン市政府などとのつながりが強いと示した。

現在、恒大集団の事実上の債務不履行(デフォルト)によって、「海外では中国企業への不信が強まり、外資誘致の拡大を図る中国当局にとって大きな痛手となっている。最高指導部が怒り、広州市の市長らを解任したのだろう」とした。

(翻訳編集・張哲)