マカオ特別行政区政府は27日、カジノ王である周焯華(アルビン・チャウ)容疑者(47)を逮捕した。同容疑者は一時、和歌山県の統合型リゾート(IR)誘致計画に参加していた。
中国浙江省温州市警察は26日、周容疑者(47)が率いる「越境賭博犯罪集団」は中国国内で違法なカジノを開設した疑いがあり、「社会管理の秩序を大きくかく乱した」と発表し、同容疑者に自首するよう呼びかけた。
地元紙・澳門日報によると、周容疑者は1994年に賭博業に携わり、2007年、カジノ仲介企業である太陽城集団(サンシティグループ)を創業した。マカオ政府は02年ごろにカジノ経営権の対外開放を行ったため、サンシティグループは大きく発展し、マカオのカジノ最大手となった。また、同社は賭博業だけでなく、不動産や自動車製造、映画製作、金融などの事業も手掛けている。
周焯華容疑者は、中国の国政助言機関、中国人民政治協商会議(政協)広東省委員会の第11期委員を務めた。
温州市警察当局の声明によると、周容疑者は07年以降、マカオでカジノ仲介業に従事しており、16年、フィリンピンなどでオンライン賭博プラットフォームを設立した。これ以降、海外にある同容疑者が経営するカジノに、中国人の遠征賭博などをあっせんし、賭博客引き代行の疑いがあるという。周容疑者は中国国内で資産運用会社を設立し、賭博客にギャンブル用の資金を提供し、借金の回収を行い、さらに「地下銭荘」と呼ばれる非合法な金融システムを使って資金提供や決算、海外送金などを行ったという。
中国当局は、周容疑者らの「賭博犯罪組織」には中国人会員が8万人以上いるとしている。
いっぽう、アジアの賭博業に関するメディア「GGRAsia」27日付による、サンシティグループの幹部は「同社は法を順守し、すべての業務はマカオ特別行政区政府の監督の下で行っている」と述べた。
周容疑者が設立したサンシティグループホールディングスジャパンは、和歌山県が進めるカジノを含むIRの事業者公募に参加していた。しかし、今年5月、同社は撤退すると発表した。周焯華容疑者は声明で、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大による業界への影響、世界経済の先行き不透明感、日本のIR区域認定手続きの遅れなどを撤退の理由に挙げた。
(翻訳編集・張哲)
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