[東京 18日 ロイター] – 自民党総裁選に立候補した河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行は18日、日本記者クラブ主催の公開討論会に出席、河野氏は、抜本的な年金制改革を今やらないといけないと強調し、財源は消費税で賄うべきとの考えを示した。岸田氏はその場合は消費税をどれだけ上げるかの議論が必要とし、自身としては消費税は10年程度は引き上げないとの考えを示した。
河野氏は「構造的に、保険料では最低保障年金が出せないというのは明らかだ」と指摘、「抜本的に年金制度の改革を今やらなければ、若い人たちの将来の年金生活が維持できない」と述べた。
岸田氏は、年金は支える側と支えられる側のバランスを考える必要があるとし、税でやるとした場合に消費税を何%上げるのかしっかり議論しないといけないとの見解を示した。
高市氏は生活保護制度は重要であり、生活が成り立たないときは堂々と福祉で受けられるかたちを作りたいと語った。また、年金制度は運用が行われており、株価が上がることで財源も増えていくと指摘。全て税金となるとどこで線を引くのか難しく、国民負担が増えていくとした。
<経済対策>
経済対策や補正予算について、河野氏は「GⅮPギャップを埋めていく必要がある」と述べるとともに、「規模ありきではない」とし、まずは何をやるべきかを明確にし、国費や民間からの投資分を精査していく必要性を訴えた。その中で、コロナで影響を受けた人々への生活支援、5Gネットワーク、グリーンやデジタル投資などに力を入れる意向を示した。
一方、岸田氏は、消費税について「10年程度は上げることは考えない」と述べるとともに、財政再建の旗は降ろさないとした。コロナとの共存を実現して経済を再び回して成長と分配の好循環を作り上げていかなければならないとし、予算を精査していく意向を述べた。
高市氏は、今回の補正予算は内容を絞り込むべきだとし、医療提供体制や治療薬、事業者や生活困窮者への支援、また災害復旧などを盛り込む意向を示した。規模感は丁寧に積み上げをし、当初予算ですぐに使わないものがあれば、減額補正できるので、それも含めて考え、新たな政策について来年度当初予算に計上すると語った。
野田氏は、コロナが落ち着いた後、「グリーンリカバリー」として洋上風力や水素ステーション、EVステーションなど公共事業として補正予算からしっかり支援するとした。
<使用済み核燃料・対中関係>
核燃料サイクル政策について、河野氏は、使用済み核燃料の「現実的な処分方法をどうするのかテーブルに乗せて議論した方が良い」との考えを示し、国の責任で検討していく必要性を述べた。また、同氏は、中国への対応について、「首脳会談を定期的にやるべき」との見解を示し、中国は「国際秩序の中の一つのプレーヤーとして力を発揮すべき」と伝える必要があるとした。
高市氏は、台湾有事について「可能性は高いと考えて備えをしなければならない」と述べた。日本は国防力の面で限定されているとし、実効的な抑止と対処に必要な能力を保有し、日米同盟で補完する方法が考えられるとした。