第74回世界保健総会(WHA)が5月24日~6月1日までオンラインで開催されている。総会は、世界保健機関(WHO)の全加盟国代表で構成される最高意思決定機関であり、毎年1回5月に開催する。「一つの中国」と主張している中国の反対で、今年も総会に台湾当局は招かれていない。
これに対し、蔡英文総統は自身のツイッターで、「台湾をWHAから排除したことは、2300万人の台湾人だけでなく、全世界にとっても損失だ」と強調し、さらに「世界の健康を守るために、台湾のWHAへの参加を不可欠だと認めてくれた世界中の友人たちに感謝する」と心境を語った。
日本政府は、台湾のWHA参加を全面的に支持している。24日、加藤勝信官房長官は記者会見で、台湾のWHO総会不参加について、「従来から台湾のオブザーバー参加を一貫して支持している。引き続き関係国と連携し、WHOに働きかけつつ、わが国の立場を明確に主張していく」と述べた。菅義偉首相も21日、ビデオメッセージで「国際保健課題への対応は地理的空白を生じさせるべきではない」と台湾のWHA参加の重要性を訴えた。
25日、日米豪の各台湾外交事務所が共同声明で、台湾のWHO活動の参加に支持を示した。米在台湾協会、日本台湾交流協会およびオーストラリア弁事処による連名の声明は、中共ウイルスに対する台湾の「早期の対応、厳格な検査戦略、強力な国境管理措置、およびその情報の透明性は、公衆衛生の分野で成功例を示した」と称賛。そして、「世界で感染率が急上昇を続ける中、いかなる人々も国際的な医療ネットワークから排除されるべきではない」として、台湾のWHA参加要請を表明した。
台湾は、2009~16年までWHO総会にオブザーバー参加していたが、2017年以降は中国からの反対で参加できていない。
日本の「外交青書2021年版」は、中共ウイルス感染拡大において「自由・透明・迅速な形で各国および地域の情報や知見を広く共有することが重要である」と認識しており、台湾のWHO総会へのオブザーバー参加をこれまでも一貫して支持していると書いている。
5月5日、G7外相は共同声明で、台湾のWHO年次総会への参加を支持すると表明した。
(蘇文悦)
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