米国のハーバード大学とボストン大学の最新共同研究は21日、中国当局が提示した大気汚染データと中国の米国大使館が観測したデータとの間に「統計上の大きな差がある」と指摘した。
研究報告によると、研究チームは北京市、瀋陽市、上海市、広州市と成都市の5都市の政府から、2015年1月~17年6月までの大気汚染の観測データを入手した。各地の監視当局は、大気にあるPM2.5と呼ばれる微粒子の濃度を1時間ごとに測定していた。研究チームは、これらのデータと、米国大使館や領事館が集めているPM2.5の観測データとを比較した。
研究者らは、一時的に現地のデータが米国の観測所から統計的に有意に乖離した時間を特定した。その結果、このような乖離は、頻繁に発生し、かつ大きいことがわかった。また、大気の質が特に悪いときには、1時間ごとの乖離がより大きくなることがわかった。
これらの結果は大気汚染が深刻な日に、地方の観測所が報告するPM2.5のレベルは、米国の観測所が報告するレベルよりも体系的に低いことを示唆している。
研究チームは、中国各地の政府は大気汚染をめぐって過少報告していると指摘した。
著者らは、今回の結果は、中国の一部の地方政府の職員が大気汚染を過小報告しているのではないかというこれまでの懸念を補強するものであると指摘している。
報告書は、各地の地方政府は中国当局の経済政策に合わせ、保身のために大気汚染のデータを操作しているとの見方を示した。
「地方の公務員は、『正しい』数値を上層部に報告するという大きなプレッシャーに直面している」
「私たちの結果は、中国政府が2012年に大気汚染対策を改革して以降も、一部の地方当局者がPM2.5濃度の測定値を誤って報告し続けていることを強く示唆している」と報告書は示した。
一方、22日、米政府が開催した気候変動サミットに出席した中国の習近平国家主席は、中国の温室効果ガス排出量を2030年までにピークを迎えてから減らし、60年までに排出量をゼロにするとこれまでの主張を貫いた。同氏は、今後10年間中国の排出量は引き続き増える傾向にあると示した。
習近平氏はまた、気候変動問題に関して、先進国が途上国に資金、技術などを提供すべきだと主張した。
(翻訳編集・張哲)
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