中国は世界最大の海洋プラごみ排出国 ルール無視の漁業、野生動物を違法消費=米国務省報告

2020/09/29
更新: 2020/09/29

米国務省は9月25日、中国が犯している11の環境破壊を詳述した報告書を発表した。報告によれば、中国は世界最大の温室効果ガスおよび海洋ゴミの排出国、そして世界最大の違法・無報告・無規制漁業の乱獲者、さらには世界最大の野生動物および木製品の密輸・消費国であると指摘した。

報告は、中国のこれらの行動は天然資源の過剰搾取をしており、中国国民に最悪の環境への影響をもたらすと指摘した。同時に、広域経済圏構想「一帯一路」を通じた環境無視の輸出行為は、世界経済と世界中の人々の健康を脅かしていると批判した。

マイク・ポンペオ米国務長官は過去、「中国経済の発展は、空気、土地、水質に与える影響を意図的に無視することで成り立っている。中国人と世界は、もっと良い(空気、土地と水質)ものを享受すべきだ」と述べている。

温室効果ガスの排出 オゾン層の破壊

中国は「自国が国際的な環境リーダーである」と主張しているが、しかし、そのエネルギー関連の二酸化炭素(CO2)の排出量は増加傾向にある。 2006年以降、中国は継続して世界最大の年間温室効果ガス(GHG)排出国で、その総排出量は米国の2倍で、世界の総排出量の約3分の1近くを占めている。

特に、「エネルギー関連の排出量」に関して言えば、2005~19年の間に、北京は80%以上増加したのと比べ、米国は15%以上減少している。2019年だけでも、中国は3%以上増加しているのに対し、米国は2%も削減に成功している。

北京側は、一人当たりの二酸化炭素排出量がすでに多くの高所得国の水準に達しているにもかかわらず、温室効果ガス排出量を削減する責任から逃れるために「発展途上国」を主張している。中国の排出量の増加は、世界中の排出量削減における各国の進歩を相殺している。

世界各国は、モントリオール議定書のもと、オゾン層にダメージを与えるおそれのある物質は段階的に廃止することで合意している。

しかし、科学者たちは、2014~17年にかけて、中国東部で放出されたトリクロロフルオロメタン(CFC-11)の量が増加していることを発見した。同物質は オゾン層にダメージを与えるおそれのある物質として、段階的に廃止しなければならないものである。

米国はこれに対応するために国際社会を主導し、今後も中国がその義務を果たし、監視・法執行の取り組みを強化するよう働きかけている。

空気質の悪さ、水銀の漏えい

2020年2月、大気汚染に見舞われる北京(GettyImages)

2008年、アメリカの外交官は北京の米国大使館に空気質モニターを設置し、そのデータを公開した。「北京の空気の質は、中国政府が認めたものよりもはるかに悪い」と指摘した。

北京はこれ以来、新しい「環境空気の質の基準」を策定するなどして、「空気質の改善」を常に市の優先事項としてきた。大都市部など部分的には中国の空気質は改善したが、それでも中国の大気汚染の全体的なレベルは依然として人に健康被害を及ぼしかねないレベルである。そして中国の大気汚染は、近隣諸国にまで影響している。

米国国務省は米国の目標を達成するために、革新的な技術を外交・開発プログラムに取り入れ、外交、政策指導、および対象を絞った対外援助を通じて大気汚染の世界的な脅威を緩和し、米国の輸出を支援する市場を形成することに尽力している。

中国の安全でない工業プロセスは、同国を世界最大の水銀排出国にした。神経毒になる水銀の大気、水、土壌への汚染は、公衆衛生上の大きな脅威となる恐れがある。

中国の石炭企業や、中国の国有企業が出資して他国で製造・運営している工場によって引き起こす水銀汚染度は世界でも、ワーストワンのレベルだ。

野生動物の密売、違法な伐採

報告によれば、合法・違法を問わず、中国は間違いなく世界最大の野生動物の消費国である。また「野生動物の売買の排除、廃止および破壊に関する法律」の下で懸念国に指定されてる。

野生動物の売買は、生態環境への影響、不正や腐敗の発生、また地域社会から合法的な経済的生計を奪い、さらに多くの種を絶滅の危機にさらし、伝染病の要因にもなりうる。野生動物の売買は、深刻な国際的犯罪といえる。

米国政府は中国当局に対し、野生動物の販売への取り締まりを改善するよう呼びかけている。国際的な圧力により、2017年、象牙の取引はほぼ全面禁止となった。米国は引き続き中国に対し、野生動物とその製品の使用の削減や、絶滅危機に瀕する野生動物の販売を永久に停止するよう呼び掛けている。

世界最大の違法な木材伐採製品の消費国である中国は、生産国での違法伐採を促進し、年間520億ドルから1570億ドルまで違法伐採製品の取引を増やし、汚職や国境を越えた組織犯罪を助長してきた。

また、監督や法執行機関が弱い国ほど中国の略奪の被害を受けやすく、中国はそれらの国で、環境や社会的保護措置を無視した無責任な開発行為を行ってきた。

国務省は、「米国をはじめとする他の国々は森林分野での模範を示している。中国もこれに習い、違法木材の輸入を全面的に禁止すべきである」と申し入れている。

中国は世界最大のプラスチック製品の生産および輸出国であり、世界のプラスチック製品消費量の30%を占めている。天津大学が2019年に実施した包括的な文献レビューでは、中国はプラスチック廃棄物の量が世界有数だという。そのうち、少なくとも13%は管理されておらず、汚染の形で直接、環境に放出または投棄されている。

中国もかつては世界的なプラスチック廃棄物のリサイクルを支持していたが、しかし、同国が2018年に策定・発効させた「剣網」政策が、リサイクル可能なプラスチック廃棄物の輸入を厳しく制限したことで、同廃棄物取引の世界貿易にまで影響を与えた。

現在、2018年以前に中国によって輸入されたプラスチック廃棄物は、発展途上国で埋め立て、焼却、または処理されており、最終的には生態系へさらなる負担をかけている。

中国共産党の「一帯一路」

中国「一帯一路」構想は、中国が主導して、中国と関係諸国をインフラや貿易・投資でつなぎ、各国の経済発展を促そうというものである。しかし、その実施には、明確な環境ガイドライン、安全基準、労働者保護措置が欠けており、その多くのプロジェクトは国際基準を満たしていない。

このため、ホスト国はプロジェクトの完了後も、長い間もたらされる悪影響や負の結果に対処せざるをえないのが現状である。中国が支援した多くのインフラを含むプロジェクトが、現地の人口減少、水質に悪影響、隣接する土地の汚染をもたらし、脆弱な生態系は破壊された。

世界自然保護基金(WWF)によると、「一帯一路は1700以上の主要な動物多様性サイトと重なっており、265種が脅威にさらされている可能性がある」と明らかにした。

また「ネイチャー・サステナビリティー(Nature Sustainability、持続可能な自然)」誌に掲載された研究によると、「一帯一路プロジェクトは汚染をもたらす可能性が高く、野生動物の死亡や生息地の喪失、さらには環境へのダメージにより、永続的な環境悪化を引き起こすだろう」と指摘した。

海洋ごみ排出 世界中で違法、無報告、無規制(IUU)漁業

2018年、浙江省の人工湖で魚を引き上げる漁師たち、参考写真(GettyImages)

中国は世界最大の海洋プラスチックごみ​​の排出国であり、2017年に100万トンものプラスチック廃棄物を海に放出したと専門家は指摘した。海に流されたそれらの廃棄物は毎年、海洋・漁業・観光産業に年間数十億ドルの損失を与え、また食の安全や公衆衛生をも脅かしている。

APEC(アジア太平洋経済協力)の2020年のフォーラムの報告書によると、海洋ゴミが同盟国へ与えた損失は2015年だけでも110億ドル以上と推定されているという。

中国による持続不可能な捕獲漁業は、世界の漁業水域の環境悪化や漁業資源の衰退を引き起こし、漁業の持続的発展を著しく阻害している。中国は、公海やその他の国で操業している世界最大級の長距離漁船団などへの補助金を増やしている。

中国船は日常的に他国の主権や管轄権を侵害し、無許可で漁を行ったり、またライセンス契約に違反して過剰な乱獲を行っている。これらの問題について、北京は「ゼロ容認」政策を採用すると表明しているにもかかわらず、問題は依然として蔓延している。

中国は国際的な漁業管理措置を遵守しないばかりでなく、最も深刻な違法・無報告・無規制漁業を行う世界最悪の国の一つである。

中国の巨大ダムの運営、不透明な水管理方法、およびメコン川上流部水量の一方的な調整により、その下流の近隣諸国に悲惨な結果をもたらしている。チベット高原を源にする世界で12番目に長いメコン川は、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの6カ国にまたがる6000万人の生活を支える。

2019年12月のメコン研究シンポジウムでは、研究者たちは、中国はダム建設で過去25年間、メコン川の流れを操作してきたという証拠を提出した。公開された衛星データとメコン川委員会(MRC)の河川高度記録をさらに分析したところ、中国による巨大ダムの建設と運用で、干ばつが激化し、自然の水の流れに最大のダメージを与えたことがわかり、また、それが漁業や農業への計り知れない損害とも一致していることが確認された。

これらの現象は、中国側が重要な流量データを提供していないことでさらに悪化し、問題の複雑さもより増している。また、これらの重要な流量データがなければ、メコン地域の国々は水資源を効果的に管理したり、潜在的な洪水や干ばつの影響に備えたり緩和したりすることもできないのである。

米国は中国に対し、通年の水データを共有するという最近の公約を履行し、メコン川委員会と協力して、既存のパートナーシップやデータ共有プラットフォームを活用して、関連データを共有するよう求めている。

(大紀元日本語ウェブ)