戦闘機F35A墜落 専門家「中ロが残骸狙っている」

2019/04/11
更新: 2019/04/11

防衛省は10日、前日に青森県三沢基地所属のF35Aステルス戦闘機が、太平洋上で墜落したと発表した。日本とアメリカは、パイロットと航空機の残骸を探している。米軍関係者は同時に、中国とロシアが、米最新兵器であるF35の残骸を入手するため、潜水艇などを使って探査すると見て警戒している。

元米空軍中将デビット・デプトゥーラ氏は米メディア・ビジネスインサイダーの取材に対して、ロシアと中国は行方不明となっているF-35を発見するためにあらゆる手段を取るだろうと語った。

米FOXニュース4月10日付によると、F-35はアメリカの軍事史上最も高価な兵器プロジェクトで、高度な技術と武器を装備し、ステルス性能を持つ第5世代戦闘機。報道によると、日本は今後10年間で147機のF-35戦闘機を購入する予定。その大半がF-35A。

ロッキード・マーティン社が中心となって開発されたF35は、米国で2006年に初就役して以降、事故は今回を含めて2度。米軍や防衛省によると、今回墜落したF35は、三菱重工の小牧南工場(愛知県豊山町)で組み立てられ、2017年末に航空自衛隊に配備された。

米上院の外交委員会で上級顧問を務めた、ロシア兵器拡散専門家トム・ムーア氏は、SNSで「中国とロシアにとって、この日本で失われた飛行機の残骸を入手するために、どんな大金をかけても惜しまないだろう」と書いた。

米国のメディア・ワーゾーンの編集者テイラー・ロゴウェイ氏は、「日本のF-35戦闘機の太平洋墜落によって、冷戦以来最大の水中のスパイ活動および対スパイ活動が展開される可能性がある」と書いた。

中国とロシアは太平洋での軍事優位性を高めている。もし、両国にF35の機体が発見されれば、リバースエンジニアリング(逆工程技術)で、F35の再現を試みて、自国製のステルス戦闘機を作成すると考えられる。

ロイヤルユナイテッドサービス研究所の戦闘機専門家ジャスティン・ブロンク氏は、カナダ放送協会(CBC)の取材に対して「再現できるかどうかは、戦闘機の損傷具合による。F35の形状は良く知られている。このため、レーダーやその他のセンサー、コンポーネントが再現の対象となるだろう」と述べた。

F35は、内部の機密システムは解除されたり復元を難しくするようあらかじめ設計され、模造防止の機能があるとされている。

しかしブロンク氏は、航空機の特殊なステルス(レーダーに探知されない)塗装技術、レーダー反射器、吸気や排気部分が狙われるとみている。

ブロンクス氏は、中国とロシアはどちらも優れたリバースエンジニアリングを所有しており、「特に中国はこの技術を習得している」と警告している。

元中将デプトゥーラ氏もブロンクス氏も、中ロがF35の残骸を入手しようとしているとみている。

世界中の飛行機の動向を伝えるSNSアカウントによると、事故発生の青森県沖に10日、3000キロ以上南に位置する米領グアムから米軍の大型戦略爆撃機B-52が出動した。専門家は、日米以外の他国に残骸を渡さないという意思表示だとみている。

防衛省4月10日付けの発表によると、航空幕僚長は墜落事故を受けて、9~15日まで予定していた米国出張を取りやめた。別の発表によると、防衛省はパイロットとF35の残骸捜索のために、自衛隊から8軍機、艦艇5隻、海上保安庁から巡視船3隻、米軍からは哨戒機などが参加している。

(編集・佐渡道世)

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