中朝国境の町、住民約1万人が抗議デモ 土地開発に反対=吉林省撫松県

2018/01/11
更新: 2018/01/11

1月8日、9日の二日間にわたり、北朝鮮の北東部に国境を接する吉林省白山市撫松県の撫松鎮では、地元中学校の移転に反対した1万人の住民が大規模な抗議デモを行なった。警官千人以上が出動し、厳重警備態勢を敷いた。

ネットに投稿された地元住民らの話によると、抗議活動は1日から始まり、次第に拡大し、8日には商店や会社は閉まり、交通機関は完全に止まるなど、町の機能はマヒ状態となった。

土地開発に伴う政府機関の大移転

中朝国境沿いにそびえる長白山(朝鮮名:白頭山)の観光開発を進める地元政府は、2009年に中国の不動産大手、ワンダグループ(大連万達集団)などの商業不動産開発会社らと契約を結んだ。同市から約30キロ離れた辺ぴな山地で、原生林を切り倒し、別荘やゴルフ場を併設するアウトドア複合施設の建設に合意した。

ワンダグループはその後、開発エリアで地元政府及び官庁用のオフィスビル群や学校の校舎宿舎などの建築物を無料で建設した。これは両者が契約で合意した内容かどうか、詳細は明かされていない。

地元政府は2013年から予告も正式通知もせず、公安局や都市建設局、電力局、教育局、公共衛生局など政府関係部門を次々と移転した。最近、学生数約2600名を有する同市唯一の優良(重点)校である「撫松第一中学校」を移転しようとしている。

反対住民の主張

連日、学生の親や保護者らを中心として抗議活動が行われている。反対の理由について、「公共交通の手が届かないへんぴな場所」「100棟以上の高層ビルが建てられたが、今でも住む人はなく、ゴーストタウン状態にある」「新しいキャンパスの管理に混乱をきたしていて、一人っ子の我が子が親元を離れあのような荒地に行くなんてとても安心できない」「政府機関の移転は庶民の生活に大きな不便をもたらした。大人なら我慢するしかないけど、子供のこととなるとどうしても譲れない」などが挙げられた。

副県長が圧力に屈し、学校の移転を中止すると発言したが、住民らは政府の口約束を信頼せずに、より的確な保障措置を求めてデモを続けている。

ワンダグループの公式ウェブサイトによると、「長白山脈国際ホリデーリゾート」は吉林省撫松県松江鎮に位置し、2012年に開業した。敷地面積は30万平方キロメートル、建築面積は10万平方キロメートル(東京ドーム約213個分)。投資額は200億元(約3450億円)にのぼり、スキー場やゴルフ場、高級ホテル、観光村などを併設する中国で最大面積の大型総合リゾートであるという。

 

(翻訳編集・王君宜)