「誉めてほしいのではない」習近平氏、詩を使い抱負語る

2017/10/27
更新: 2017/10/27

習近平総書記(国家主席)は25日の中国共産党第19期中央委員会第1回総会(1中総会)の閉会後、最高指導部の新メンバーを連れ立って記者会見に臨んだ。指導部メンバーの紹介を終え、今後の抱負を語った習氏は、古代詩人の名句「不要人誇好顏色,只留清氣滿乾坤」で自らの発言を締めくくった。

句の出所は、中国元代の画家、詩人王冕氏の詩作「墨梅」。全文は「吾家洗硯池頭樹,個個花開淡墨痕。不要人誇好顏色,只留清氣滿乾坤」。

日本語に訳すと、「ここに描いた花は、私が筆を洗う池のそばで生え出した梅のようだ。花びらには薄い墨液がにじみ、鮮やかな色合いがない。花々は色を褒めてほしいのではない。清らかで淡い香りを天地に残したい一心だ」という意味になる。

王冕は元代末期の詩人、文学家、書道家、画家。浙江省紹興諸曁の人。農家に生まれ、日々放牧をしながら蓮の花を描き、夜は寺院から漏れる明かりの下で勉強に励んだ。豊かな学識を持ち、詩文もできた。水墨画を得意とし、梅や竹、石をよく描いた。九里山に隠居してからは画売って余生を過ごした。

名利に淡白な王冕はこの詩作では梅をテーマに、俗世間に媚びらないという自分の人生理念を表したと、解釈されている。

中国の指導者は発言に古詩を引用することを好む。かつての温家宝首相も最高指導部から退任する数カ月前の2012年11月、東南アジア歴訪先のタイで「真実を追求するためなら私は9度死んでも後悔はない。もし死ぬのなら、誠実かつ高潔に死にたい」(中国語:「亦余心之所善兮,虽九死其尤未悔」「伏清白以死直兮,固前圣之所厚」(楚の屈原(くつげん)の「離騒」から)を取り上げてスピーチを締めくくった。

さらに自らの言葉として、次のようにつけ加えた。「どうか皆さん、私をお忘れください。中国の皆さんも、海外にいる中国人の皆さんも。どうか私のことは忘れてください」。

習近平氏は2012年に党総書記に就任して以来、中国伝統文化の重要性を強調してきた。習氏自身もたびたび発言に古代の名文を織り込ませてきたが、数年後退任する際、どのような詩句で自らの政治人生を総括するのだろうか。

(翻訳編集・叶清)