韓国政府の北朝鮮支援決定 割れる国内世論

2017/09/24
更新: 2017/09/24

韓国政府は21日、国際機関を通じて800万ドル(約8億9千万円)相当の北朝鮮支援を決定した。韓国国内では、保守派が国際社会の流れに合わない判断だと反発、革新派は政治的状況とは無関係に行うべきとの意見が対立した。

保守派「国際社会の流れとかけ離れた判断」

韓国の代表的な保守系メディア・朝鮮日報は22日の社説を通じ、北朝鮮の核・ミサイルの最大被害国である韓国が現在の状況で支援を決定するのは適切でないと批判した。また、21日に開かれた国連総会演説で文在寅・韓国大統領が言及した、2018年平昌五輪での南北共同応援についても、不適切な発言だと指摘した。

他の保守系メディアの中央日報は、文大統領が国連演説で圧迫と平和をバランスよく取り挙げた点を高く評価するいっぽう、人道支援の時期については批判的な立場をとった。同社は、人道的なレベルでの北朝鮮支援については支持を表明する反面、「北朝鮮の核危機に対抗して制裁と圧力を強化する国際的な流れとかけ離れた判断ではないか」と述べて、決定とは別に、実際の執行はできる限り遅らせる必要があると強調した。

第1野党である自由韓国党も論評を通じて、「日本は住民に避難案内までしているのに、韓国政府は北朝鮮への人道支援を話している」と文在寅政権の政策を批難した。

革新派「国家安全保障と人道支援は別問題」

多数の革新系メディアらは、政治的な状況と人道支援を別の問題とすべきだという意見で一致した。代表的な革新系・京郷新聞は、議論されている4つの争点(時期、必要性、有効性、原則)をまとめ、国連安保理の客観的評価を基準とした支援決定に賛成の意を示した。

中道・革新系新聞社の韓国日報は、国連の強力な北朝鮮制裁に賛成するが、最も被害を受ける民間人へのサポートも国際社会の責任であると力説。また、今回の支援が軍事的に転用されない医薬品と児童栄養食として行われる点に言及し、国際機関を通じた透明性を強調した。

人権尊重の面では妥当、時期については疑問

人権と人道支援は、国際社会で求められる主な価値であり、原則ではあるが、文大統領が言及した「韓国戦争以来、最大の危機」である今の状況下で、支援を決定したことには疑問が残る。

専門家らは、韓国歴代の北朝鮮人道支援額を見ると、李明博政府が約68億円、朴槿恵政府が約39億円を支援したことから、今回の支援が「例外的」とは言えないと分析する。

韓国統一省は18日の定例ブリーフィングで「人道支援は、政治的な状況とは無関係に持続する」と述べて、わずか3日後の21日に、「実際の時期と(支援)規模は南北関係の状況を考慮して推進する」とし、政府の主張は「ちぐはぐだ」などネットでは批判の声も多数あがっている。

(翻訳編集・齊潤)