中国国有通信大手の中国聯合網絡通信集団有限公司(チャイナユニコム、以下は中国聯通)は16日に、民間企業資本を導入する「混合所有制」改革方案を発表した。
同方案によると、A株(人民元建て)市場上場の子会社、中国聯合網絡通信股份有限公司は、ネット通販最大手のアリババ集団、スマートフォンチャットサービス最大手の騰訊控股(テンセント)、ネット検索最大手の百度を含む14社からの出資を受け入れる。出資総額は、新規株式発行や株式譲渡などで約780億元(約1兆3000億円)。
アリババ集団らのほかに、家電販売大手の蘇寧雲商集団、生命保険大手の中国人寿保険、ネット通販大手の京東集団、配車アプリ大手の滴滴出行などと国内有名企業の名が挙げられた。
14社は中国聯合網絡通信有限公司の約35.19%株式を保有することになる。親会社の中国聯通が保有する株式の割合はこれまでの62.7%から36.7%に減少。
また、国営と民営資本による混合所有制の下で、中国聯合網絡通信有限公司の董事会(取締役会にあたる)は、中国当局から指定される董事(取締役)の人数は3人、中国聯通側からの董事は2人、国有企業投資者からは1人、民営企業投資者からは3人、独立董事を新たに配置するとの新体制になった。
中国国内では、今後同社の経営に関して、アリババ集団など民営企業に発言権の有無に関心が集まっている。
国家発展改革委員会は昨年10月、中国聯通を混合所有制改革の第1回テスト企業に指定した。
現在中国当局は国有企業に対して民営資本の導入を加速させている。国内紙・証券日報によると、国有石油大手の中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)も11月に同様な再編が実施されるとみられる。
専門家「民間企業は国有企業の赤字の穴埋めに利用される恐れがある」
「混合所有制」は習近平政権の目玉政策の一つ。中国政府は巨大化して効率が悪いと指摘される国有企業改革の一環として、今年中にすべての国有企業を株式会社などに移行させる方針を示した。しかし、この改革に問題点があると専門家は指摘する。
上海在住の弁護士・鄭恩寵氏は大紀元に対して、「混合所有制は市場経済の摂理に見合った経済政策ではない」と指摘した。
「民間企業が資本を国有企業に投入しても、その代わりに取得できる国有企業の株式の割合は非常に少ない。ほとんどの国有企業が赤字経営を続けている中、民間企業が直ちに収益を得られないから、逆に民間企業の経営に圧迫することになる」と民間企業は、国有企業の赤字穴埋めのために使い捨てされる危険性があることを示唆した。
2015年9月、当局が「混合所有制改革案」を発表した直後、新華社通信は直ちに「私有化を断固として反対」を題とする記事を掲載し、民家企業は経営権を握ることがないことを警告した。
また、混合所有制で国有企業に民間資本を呼び込むのには、民間企業のノウハウを国有企業の経営に役立てる狙いもある。しかし、国有企業の実権はほとんど、太子党と呼ばれる共産党長老の子弟に握られている。これまでの経営モデルで莫大な富を築いた現経営陣にとって、「この改革は彼らの財源を断ち切ることになるため、難しい」と、北京理工大学の胡星闘教授は混合所有制が思うように成果をあげることができないと分析した。
国有企業改革は、習近平当局が掲げる「供給側構造的改革」の重要な一環とされている。現在、中国国有企業は過剰生産能力、ゾンビ企業の急増、過剰債務などの問題に直面している。中国国内経済界では、企業の債務増加、銀行の不良債権増加、民間企業が市場から排斥されている現状は、過去30年間国有企業の寡占、盲目の投資、汚職腐敗に関係すると認識している。
(翻訳編集・張哲)
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