チベットで新たな焼身自殺者、中国政府は幹部大量派遣へ

2012/03/15
更新: 2012/03/15

【大紀元日本3月15日】中国四川省のチベット人居住区では10日、チベット人焼身自殺事件が新たに発生した。今月で3人目となる。これを受けて四川省政府は「社会の安定を維持する」との理由で、千人余の幹部をチベット人居住区に新たに派遣すると発表した。

3月10日、中国政府は「チベット反乱を抑えた」記念日と定めているが、チベットの独立運動団体の多くは、「チベット蜂起記念日」としている。

53周年となる今年のこの日、四川省アバ県の重要寺院・キルティ僧院の18歳の僧侶は中国政府のチベット政策に抗議するため焼身自殺を図り、死亡した。2009年2月から、計27人のチベット人が焼身自殺での抗議を行った。19人の死亡が確認されているが、そのほかは当局に収容され、大半は所在不明である。

政府系メディア・新華社通信は12日、「チベット人居住区の調和と安定を促すため、四川省は今年中新たに千人余の幹部を派遣する予定」と報じた。

今回の事件を受けて、ラジオ・フリー・アジア(RFA)の記者がアバ県の公安局などの政府機関に取材の電話をかけたが、対応しなかったという。

一方、自身が中国政府に自宅軟禁されているチベット女性作家・唯色さんは文面を発表して、チベット人に対して、焼身自殺との行為を止めるよう呼びかけた。

「もう二度と焼身自殺しないでほしい。チベット人全員は命をもっと大事にして強く生きるべき」との言葉を綴った。「焼身自殺は意志を表明するためだが、生命を犠牲してまで行うべきではなく、生きていくことに重大な意義がある」と訴えた。

一方、インドのチベット亡命政府の精神指導者ダライ・ラマ14世も、焼身自殺を支持しないと公で明確に強調していた。それに対して、中国政府は繰り返し「チベットの不安定な情勢は海外の民族分裂勢力に関連している」と非難してきた。

インドのチベット亡命政府のグサンジェンソン議員は、「チベットの民衆が命を持って焼身自殺抗議する根本的な原因は、中国政府のチベット政策の残虐性にある」と述べた。

同亡命政府のロブサン・ センゲ首相は10日、「今のチベットではハンガー・ストライキや、デモあるいは平和的集会などいかなる抗議活動も取り締られている。中国政府の強硬な政策はチベット人の焼身自殺行為を直接に激化させている」と述べた。

 (翻訳編集・叶子)