<赤龍解体記>(43)中国、クリントン米国務長官のミャンマー訪問をめぐる中国での官民

2011/12/05
更新: 2011/12/05

【大紀元日本12月5日】米外交の中枢をアジアへと転換をはかるオバマ大統領の政策の一環として、12月3日、クリントン米国務長官ミャンマーを訪問した。クリントン国務長官は、テイン・セイン大統領と会談し、関係改善への強い意欲を示し、アウンサンスーチーさんとも会談してミャンマーの民主化を支持する態度を表明。

米国の戦略の意図は明らかだ。世界規模で最強最悪の共産主義政権を展開する中国を包囲することにある。米国の明確なメッセージに対し、中国内では政府側の恐怖心が窺われると同時に、民間の絶大な支持もみられ、相反する意見が交錯している。

クリントン米国務長官のミャンマー訪問について、「人民日報」傘下にある「環球時報」は、「風格が欠如した、クリントンのそそのかし外交」と題する社説を掲載し、クリントンがミャンマー訪問の途中で発表した談話を、ミャンマーをそそのかして中国との仲を裂くものと批判している。クリントン米国務長官に対して、同社説は次の通り指摘する。

「発展途上国として、援助を賢く受け入れようと資源を得ることにだけ興味を持つ国に警戒しなければならない。実際の国力の構築にはつながらないからだ。提供された資金は短期間の予算不足には充てられるが、このような便宜的な方策は継続的な生産には至らない事実を多く見てきている」

中共メディアのこのような批判に対しネットユーザの村主氏は、「中選網」上で、クリントン発言は素晴らしいと絶賛している。「発展途上国としては、貧しくても気を緩めることなく、聡明な受援国になるべきだ。中国には「人に魚を授けるより、漁を教えるほうがよい」という言葉がある。わずかな資金を送ることは一時の便宜に過ぎず、根本的な問題改善にはならない。しかし、民が富み国が強化される体制を授けることは、他国への本当の思いやりである。この意味では、クリントン国務長官の発言は、道理に合うものではないか」

一方「環球時報」は、クリントン発言について次のよう批評している。「クリントン発言の矛先が中国に向かっていると世界のメディアは見ている。米国国務長官としてクリントンは発言も慎まずに中国を貶している。本来の度量のが小ささを示すものだ」

これに対し村主氏は、下記のように問いただす。「『環球時報』の上記のような評論こそ度量の小ささを証明するものだ。クリントン氏は中国に言及していないのに、なぜわざわざ曲解した見解を作り出すのか」「本当に世界の全てのメディアの内容を確認したのだろうか。世界のメディアの見解が一言でまとめられるのだろうか」

「環球時報」は、中国の対外援助は付加的条件はなく、純粋な援助だと主張し、米国の対外援助は厳しい政治的条件を付しているとしている。これに対し村主氏は、「左派の偉大な指導者毛沢東はかつて『世界に無縁の博愛はない』と明言している。今の左派は博愛の存在すら信じない。米国が誠心誠意に他国を援助することは信じず、常に「帝国主義が中国を滅ぼそうとしている」と思い込んでいる。『世界に無縁の博愛がない』ならば、中国の対外援助が「純粋」なものになることがあり得るだろうか」と反論し、「中国が受援国に要求する「一つの中国」「台湾とチベットは中国領土の一部」などの観念は、政治的条件ではないか」と詰問する。

「環球時報」は、クリントン国務長官が受援国を劣ったものとみなし、自分を知者としているというスタンスに立ち、クリントン氏発言は悪言に相当し、羨みと嫉妬のため、絶叫しはじめた、と続ける。さらに、クリントンは国務長官赴任以来、中国に対してこのような悪態を、二度三度に留まらず繰り返していると指摘する。

これに対し、ネットユーザーの村主氏は、「クリントン氏はただ、発展途上国に警告したに過ぎない。『環球時報』はなぜ悪言として切り替えて報道するのか。羨みや嫉妬とは何を指しているのか。単なる短い談話に関して『環球時報』がこれほど長い社説を引き出した事実から、本当に羨み嫉妬し、悪言を吐き失態を呈するのは、中国であることは明らかだ」と語っている。

村主氏は実例を挙げて中国の対外援助の下劣さを指摘し、中国の独裁主義と自由社会の民主制度の違いについても言及した。中国人や発展途上国を代表するかのような「環球時報」のいつもながらのスタンスを批判し、人民や受援国が自ら判断する権利を与えるべきだと主張している。