チベット人僧侶、相次ぐ自殺 北京との対立がつづく

2011/10/07
更新: 2011/10/07

【大紀元日本10月7日】中国四川省のチベット人居住区では3日、チベット人僧侶焼身自殺を図る事件が新たに発生した。同様の事件は、今年で5人目となる。

ロンドン本部の人権団体「フリー・チベット」の公表によると、自殺を試みたこの僧侶の年齢は17~18歳。チベット自治区に隣接する四川省アバ地方のキルティ僧院に所属する。彼は現地の市場で焼身自殺を図った際に、手にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の画像を持ち、チベットの宗教権利と自由を繰り返し叫んでいた。駆けつけた警察は火を消し、同僧侶は病院に運ばれたが、詳しい状況は伝えられていない。

先月26日にも、同僧院の2人の僧侶が、焼身自殺する事件が発生している。

フリー・チベットの公表によると、2人の年齢は18~19歳。自殺する直前には禁止されているチベットの旗を振りながら、宗教自由とダライ・ラマ万歳を叫んでいた。そのうちの1人は今年3月に焼身自殺をはかった僧侶の弟だという。

同日に、中国国営新華社はこの事件を簡略に報道し、自殺は警官に止められて、2人は軽いやけどを負ったと伝えた。宗教自由を訴えたことには触れなかった。

フリー・チベットの公報は、「一連の僧侶焼身自殺事件は、チベット人の絶望的な気持ちと精神的な苦痛を露呈しているのと同時に、彼らがこのような極端な行動に走ったのは、国際社会にチベット情勢への関心を呼びかけるためだ」と述べた。

ダライ・ラマ14世は1959年、中国政府の統治を反対するチベット人抗議運動が武力弾圧された直後に、ヒマラヤ山脈を経由してインドに脱出し、同国北部ダラムサラでチベット亡命政府を設立した。ダライ・ラマに次ぐバンチェン・ラマの後継者について、1995年にチベットのある男児を認定した。中

国政府はその直後に同男児とその家族を軟禁し、別の男児をバンチェン・ラマの後継者と指定した。殆どのチベット人は、中国政府が指定したバンチェン・ラマを認めておらず、偽者であると認識している。

また先月23日、ダライ・ラマ14世はその公式サイトで声明文を発表し、後継者の選定は14世自身とその他の指導者が15年後に行うと記した。 しかし3日後の26日に、中国政府はダライ・ラマ14世のこの主張は法律に違反していると反論した。

中国外交部の洪磊・報道官は定例記者会見で、「ダライ・ラマ14世はその公にできない政治的目的から、歴史を恣意的に歪曲し、否定しており、チベット仏教の正常な秩序を著しく乱している。その上、ダライ・ラマの継承体制を甚だしく冒涜している。(中略)ダライ・ラマの称号は中央政府が与えるものであり、それに沿わない場合は違法にあたる」と発言した。

中国政府はダライ・ラマ14世を厳しく非難し続けており、チベットを中国から独立させようとしていると主張。同氏はあくまでも、独立ではなくチベットの自由と自治を求めているのだと反論している。

(翻訳編集・叶子)

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