中国経済、下降シグナル  「一年以内の崩壊」 著名投資家が予測

2010/05/11
更新: 2010/05/11

【大紀元日本5月11日】著名な投資アナリスト/アドバイザー、そしてGloom, Boom & Doomレポートの発行者であるマーク・ファーバー(Marc Faber)氏が、5月3日、ブルームズバーグのインタビューに応え、中国経済に対する警告を発し、「12ヶ月以内の崩壊も考えられる」と予測した。

同氏はバブル崩壊のシグナルは全て存在するとして、 1873年のウィーンでの世界万国博覧会を引き合いに出した。ウィーン、オーストリア、プロシアで不動産ブームが起きたが、博覧会の6カ月前に株式市場が下降。1870年代から1885年にかけての大不況へと至った。この意味で、上海万博は不吉の兆候とみる。

不動産への投機が続けば、金融が株式市場にも流れる可能性がある。しかし、中国の株価は昨年6月の時点で天井を打ったと同氏は語る。昨年11月の戻り高値も以前ほどではない。香港のハンセン指数も同様の動きで、11月に戻り高値を記録している。「何かおかしい」というシグナルが送られている。

産業界のコモディティー価格に鑑み 、これらの価格に敏感なオーストラリアのような国や、リオティントのような企業の株を見てみると、中国経済の成長ペースが落ちていることは確実と指摘する。

さらに続けて、今後9ヶ月から12ヶ月の間に、中国経済が崩壊することも考えられるという。

また、各国経済による紙幣の過剰発行を指摘し、これからはゴールドであると指摘。中国の投資家が、不動産への投機からゴールドに移行することは十分考えられる。

ゴールド以外の貴金属への投資に関しては、中国の成長に関連するコモディティー(銅、ニッケル、亜鉛)は一切避けるよう、同氏は忠告。また、中国経済の成長に関与する企業への投資も一切避ける。麦、トウモロコシ、大豆などの農産物コモディティーを勧めている。

同氏の中国に対する見解は、ヘッジファンド・マネージャーのジム・チャノス(Jim Chanos)氏とハーバード大学のケネス・ロゴフ(Kenneth Rogoff)氏と共通するものがある。

チャノス氏は、中国のGDPの60%が不動産開発に依存している現状を指摘し、「地獄への回転ドラム」と形容する。2月に、ロゴフ氏は、負債を原動力とする中国でのバブルは、10年以内に地域的な景気後退の引き金となると語っている。

低下する製造業の成長ペース

4月の中国の製造業は、拡張はしているもののペースが落ちていることが、購買担当者指数(PMI)で示された。

5月4日に発表されたHSBC中国購買担当者指数(PMI)では、3月の57・0から4月の55・4へと下降した。同指標は、資材購買担当者にとって景気動向を見る上で必要なデータ。製造業全般の受注予測に重要な役割を担う。指標が50未満の場合は縮小と解釈され、50以上は拡張を意味する。中国の製造業はまだ拡張はしているものの、成長のペースが落ちている。

HSBCの中国担当チーフエコノミストのHongbin Qu氏によると「4月のPMIは、中国での製造活動の拡張ペースが落ちたことを示しており、経済の過熱を防ごうとする政府の政策が作用してきた」という。米紙「ウォールストリート・ジャーナル」が伝えている。

EUと中国

中国の最大の貿易パートナーは欧州連合。昨年度の貿易総額は3600億米ドル以上を記録している。ギリシャ問題で弱化する一方のユーロのため、中国人民元高、ユーロ安の状態が続いている。

中国元のドルペッグ(連動)解除は延期されたが、対ユーロとの為替レートは、元に圧力をかけることとになる。世界と中国から目が離せない。

(編集・鶴田)