大地震5日目、郊外の救助が開始 多数が土で窒息死 続く砂嵐の気候

2010/04/21
更新: 2010/04/21

【大紀元日本4月21日】19日、青海省玉樹県で大地震が発生した5日目、多くの救助人員が、県都市部の結古鎮から周辺の村へ移動し、救助活動を開始した。生存者がいる形跡のない場所はショベルカーが使用されている。救助が遅れたため廃墟の下敷きとなった人々は、けがによる死亡ではなく、窒息死していたことが判明した。中国「羊城晩報」紙が伝えた。

駐台チベット亡命政府代表であり、ダライラマ基金会のダワ・ツェリン氏によると、玉樹の人口はおよそ10万人。うち4万人が結古鎮に住み、その他の6万人は周辺の村に住んでいるという。救助活動はこれまで主に中心地区の機関や学校、マーケットで行われており、郊外の村では救助が行われていなかった。

救援治療センターに当たっている医師は本紙の取材に対し、大地震からすでに5日経過しており、生き埋めとなった人々が生存している望みはないだろうと話している。

「玉樹は(生活)条件がたち遅れており、被災した村民は地震で倒壊した土レンガの住居により、怪我ではなく窒息死している。多くのチベット人は廃墟の下に埋まり、本来死んでいなかった人たちも、生還する為の最も重要な72時間内に救助が間に合わず死亡したと思われる。現在、生存者のいる形跡は無くなってしまった。これらの人々はもし掘り出されなければ当然、公表される死者数データには載らない」

青海省玉樹チベット族自治州玉樹県は放牧地区で山が多く、住民の9割はチベット人だ。彼らの土レンガ造りの住まいは、今回の大地震で全て倒壊してしまった。玉樹県で深刻な被害を受けたのは結古鎮だけではなく、近隣の隆宝鎮でもほとんどの家屋が倒壊し、死傷者数も不明な状態だ。

結古鎮の羅松(ロォソン)僧侶は19日、前日に隆宝鎮に到着し周囲を見たが、現地に住む約3千人の牧畜民の住居は倒壊し、救助隊の姿は無かった。被災したチベット人たちが自分たちで救助を行っていたと話した。

老人や病人が凍死

当局の発表では、19日午後8時時点の死者は2039人。その数はますます増え、遺体は1万に達するだろうと結古鎮被災区の活仏・羅松は話した。

取材に応じた救援治療センターの医師は、「被災区は気温が非常に低く、被災者用テントでは寒さを凌ぐ事が出来ず、すでに多くの老人、衰弱した人、病人が凍死しており、靴下さえ履いていない子供たちもいる」と話している。

現地の救助活動に参加したチベット人女性は、多くのチベット人がテントを得られず野宿しているため、下痢や風邪などの症状が現れていると話す。

「食べ物がない人もおり、外で寝ている人もいる。これらの村民は皆、下痢を起こしている」

青海省都の西寧から救助にやってきたチベット人のダイヤンさんは、現地で薬が不足していると話す。また、救援物資の分配が平等に行われておらず、ある人は多く手に入れ、ある人は最初から手に入れる事が出来ないと指摘している。

玉樹県は青藏高原ヒマラヤマーモットが媒介するペストの病原地で、ペストは疫病防止の重点であるため、被災者が高熱を出しているかどうかは注意が集まるところだ。

僧侶たちによる救援活動を報道せず

羅松僧侶の話によると、結古鎮に青海省や四川省から多くの僧侶が救助の支援に来ている。

チベット亡命政府のダワ・ツェリン代表によると、地震発生後、多くの寺の僧侶たちが救助に当たった。「結古寺650人の僧侶のうち400人近くがすぐに駆けつけた」、「彼らが山の上から、山の下の建物が突然全て倒壊したのを見たから」。また、現地寺院では毎日決まった時間に路上で粥の配給を行っているという。

また、結古鎮から車で3時間ほどの四川省カンゼチベット自治州にある色須寺(セルシュ・ゴンパ)からは地震発生初日には800人以上の僧侶が出動。色達(セダ)寺からも数千人が出動しているという。

今回の地震の救済で、現地の状況に詳しいチベット人の僧侶たちが最も大きな役割を果たしているが、政府報道機関は取り上げていない。

結古寺の久美僧侶によると、禅古寺の9割以上の僧侶が死亡。鎮の救助作業は終了しておらず、一部の僻地では救助が困難で状況が分からない。現在同鎮の秩序は混乱しており、情報が封鎖されているという。

これと同時に外省から同地区に来た救助隊に深刻な高山病が現れ始めているという。地震発生当日の晩、広州から被災区に派遣された303人の消防救助隊員は深刻な高山病にかかり、一部には肺水腫や脳水腫などの症状が見られるという。これらの隊員たちはすでに被災区から撤退している。

ほぼ毎日砂嵐が発生

地震後の玉樹では異常な天候となっている。太陽が照りつけているかと思えば、突然雨が降り出し、しばらくすると強風が吹いて地面の土ぼこりが巻き上げられ、空が暗くなる。そのうえ、ほぼ毎日砂嵐が発生しているおり、日に何度も強風が吹いているという。

玉樹の住民によると、地震発生前は強風はそれほど多くはなかったが、地震後はほとんど毎日吹いているうえ、日に日にひどくなってきており、舞い上がる砂で目も開けられない状態だという。カンゼからの救助人員は、このような天気は砂漠でしか見られないものだ。テントは木の上まで吹き飛ばされ、支柱がねじ曲がったテントもあると話している。

青海省気象台によると、19日昼から21日の昼まで、玉樹では雪が降り、最高気温は4℃から6℃。21日晩から22日の昼にかけて、玉樹被災区ではみぞれになる模様。また、三条通から玉樹被災区への道路ではすでに雪が降り始めているという。

(翻訳編集・坂本)
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