【大紀元日本12月19日】北朝鮮人権問題啓発週間国際会議「北朝鮮の人権状況の改善に何が出来るか」が14日、北朝鮮難民救援基金、LFNKR,北朝鮮の生命と人権を守る会、特定失踪者問題調査会、北朝鮮による拉致・人権問題に取り組む法律家の会などの共催で、東京都千代田区の韓国YMCAで行われた。各団体の代表や有識者らが出席し、活発な発言と討論が一般公開された。
北朝鮮難民救援基金の加藤・事務局長
北朝鮮難民救援基金の加藤博氏によると、現在の北朝鮮は、党員らによる支配階層、かつての資本家であった動揺階層、南に連なる敵対階層に三分化されており、特に動揺階層と敵対階層には、生活不安が広がっているという。同氏はまた、これらの階層の人たちが最も人権侵害を受けやすく、特に深刻な被害者は女性だと述べた。
加藤氏によると、現在北から中国領内に脱北して潜伏している人数は10万人を下らないと推定され、そのうち約70%が女性で、いずれも人身売買の脅威に晒されているという。これらの女性と売却先の中国人男性との間に出生した子供は無国籍になるため、彼女らが仮に一人ずつ子どもを出産すれば、2000年以降には、恐らく7万人の「闇っ子」が出現するだろうと指摘した。
加藤氏は、「救出する南側にも問題がある。脱北して韓国入りした者が、韓国籍を取得した後、牧師やNGO関係者を騙り、再び中国入りして脱北者に取り入って、脱北をビジネス化して儲けている。また、韓国の牧師が脱北者に寄付を強要し、それによって安全地帯に逃がすかどうか判断しているケースもあった」と南の問題を痛烈に批判した。
北京と平壌の蜜月を訴える、中国民主運動海外連席会議・日本支部の林・代表
中国民主運動海外連席会議・日本支部代表の林飛氏は、「現在の北朝鮮が、弱小国家でありながら100万を超える強大な軍隊を持ち、国際社会に影響を与えることができるのは、中国共産党の後ろ盾があるからだ」と述べ、「中国は、北朝鮮を(番犬として)利用して国際社会を脅かし、北朝鮮は中国の支持と影響を利用して、国際社会から経済援助を得ている。特に、人権問題については、互いに支持し合っている。中国の警察は、脱北者を強制的に北朝鮮へ送り、北朝鮮の秘密警察が入国することを黙認している。中国領内では、人権活動家は不法に逮捕され、脱北者が各国大使館に駆け込まないよう警備が強化されている」と中国共産党と北朝鮮労働党の「二人三脚」を指摘した。
林氏は更に、「現在の中国は、北朝鮮同様に人権問題が深刻な国だ。中国共産党は、民主運動家、人権活動家、法輪功、キリスト教信者、チベット人活動家、ウィグル人活動家、内モンゴル活動家らに対して、徹底した弾圧を行い、これら数千万の人々を政治犯として強制収容所に送致した。韓国は、88年のソウル五輪以降に民主化が進んだが、北京五輪も中国に人権状況の改善をつきつけるいい機会だと思う」と述べ、「今後も北朝鮮やミャンマーの人権状況に関心を持ち、これらとリンクして活動していきたい」と抱負を述べた。
拉致されたタイ人女性の写真を掲げる、「ARANKA」の海老原・代表
「北朝鮮に拉致された人を救う会チェンマイ(タイ):ARANKA」代表の海老原智治氏は、「タイは75年に北朝鮮と国交を樹立し、既に2006年で北との間で400億円以上の年間貿易高がある。北にとって、タイは中国・韓国に次ぐ第3の貿易相手国になっている。その一方で、2006年にタイ公安当局が拘束した脱北者数は年間で1000人を超え、中国を除けばタイは脱北者の最大の流出先だ」とタイと北との密接な関係を指摘した。
海老原氏は、現在タイで判明している拉致被害者について、「1978年にマカオで拉致されたアノーチャ―・パンチョイさんの案件は、2005年のチャールズ・ジェンキンスさんの証言とその後の追跡調査から明らかになった。判明直後から、タイ政府当局は、ピョンヤンに対して2国間交渉によって、照会・調査・共同作業部会の設置などを呼び掛けたが、北はこれまで一貫してアノーチャ―さんの存在自体を否定し、ジェンキンスさんの証言をでっち上げだと斬り捨てた」と指摘した。
海老原氏の団体は、内容に信頼性のある書籍や映像を重視して発信しており、既に2007年にはジェンキンスさんの著書「告白」、映画「めぐみ・・引き裂かれた家族の30年」をそれぞれタイ語で発信した。2008年には、北朝鮮難民に関するタイ語の翻訳本を出版する意向だという。
タイは、9月に軍事クーデターが勃発し、現在も軍事政権下にあるが、今年の12月23日に民政に完全移行する総選挙が実施される。国会の復活後には、議会でも北朝鮮難民の問題がとりあげられることが今後期待されている。
(記者・青嵐)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。