香港司法:台湾人法輪功学習者の強制送還訴訟案、告訴却下

2007/04/27
更新: 2007/04/27

【大紀元日本4月27日】香港政府入国管理局が2003年に台湾法輪功学習者の入国を拒否し、強制送還した事件をめぐる訴訟について、香港高等裁判所が3月23日に、香港政府が暴力を駆使、台湾人法輪功学習者を強制送還したのは行き過ぎた行為ではないとし、原告となる台湾と香港の法輪功学習者らの告訴を却下した。それに対し、原告の法輪功学習者5人は判決を不服とし、23日午後、同裁判所に上訴した。原告側代理人の朱婉_qi_弁護士(人権法律協会アジア地区執行責任者)は、「判決の法的根拠が乏しく、常識外れで、明らかに中共政権の圧力を受けている。本判決は、香港司法が後退した警鐘を鳴らしている」と述べ、この上訴は司法当局に「司法試験の再受験」の機会を与えるようなものと痛烈に批判した。また、同弁護士は、引き続き上告するとともに、国連や米国国務省にも報告書を提出する考えを示した。

2003年2月、80人の台湾人法輪功学習者(犯罪記録なし)が香港での修煉体験交流会に参加するために、合法ビザを所持して香港に入国しようとしたが、入国管理局に勾留され、強制送還された。その過程で、警察から暴力を受け、女性学習者らが負傷した。

同年4月初め、朱婉_qi_弁護士を含む4人の台湾人法輪功学習者と香港法輪大法佛学会のスポークスマン簡鴻章氏など6人が原告として、香港高等裁判所に違憲審査権の行使を求め、香港政府を告訴した。訴状の中で、原告側は、「香港政府が法輪功学習者の入国を拒否するのは、中共政権が提供した『法輪功学習者ブラックリスト』に協力するためである」と指摘した。

4年あまりの歳月を経て、本年3月23日、香港高等裁の夏正民裁判官は原告の告訴を却下する一審判決を下した。判決理由は主に以下の3点。

1.台湾は中国の一部であり、台湾人は外国人に当たらない。

2.台湾人には手続きの公正権利を与える必要がない。入国管理局の長は十分の判断権限を有しているため、台湾人である原告に対し、如何なる理由説明なしで彼らの入国を拒否できる。入国管理局の長は、原告に手続きの公正権利(rights of procedural fairness)を与える必要がない。台湾人法輪功学習者の入国を拒否したのは、入国管理局の長が裁量権(broad discretionary power)を駆使しただけである。

3.台湾人である原告は、「香港基本法」第4条が定めている基本人権を有しない。当条例は、「香港特別行政区に居住する人およびその他の人の権利と自由を保障する」と定めている。台湾人原告らが香港についたが、入国していないため、香港市民および香港にいる外国人の基本人権を保護する本条例の対象ではない。

この判決について、朱婉_qi_弁護士は、「でたらめで、法的根拠が乏しい」などと強く非難、以下のように反論した。

「香港の裁判官は、『外国人が例え香港に到着しても、入国が許可されなければ、香港政府がその基本的人権を保護する必要がない』と判断している。これは誠に信じ難いことで、まったく同調できない』と批判した。

また、「台湾人に手続きの公正権利を与える必要がない」「香港の法律管轄外の者に、基本的な人権の保護を提供しない」などの判決理由について、同弁護士は、これは国際社会に対し、人権迫害の判決への容認度を試していると述べた。

朱婉_qi_弁護士は、今回の判決は、香港の司法の後退を示す恥ずべき判決と指摘し、「香港政府と司法のこのような人権侵害、司法を無視した行為の一番の被害者は、香港自身である」と強調、今回の上訴は、香港司法当局に「司法試験の再受験」の機会を与えるものと痛烈に批判し、「香港高等裁が直面するのは、香港と台湾の原告、台湾政府だけではない。中共政権という強権に投降した自らが下した気弱で無能な判決にも直面しなくてはならない。このような姿勢では、香港の司法の独立のために奮闘してきた一千万人の香港市民に顔向けできない」と力説、「今回の司法審理の全過程を注目しているのは、香港人や台湾人だけではない、天も見守っていると信じている。善良なる修練人団体にこのような天理に背く判決をくだした香港司法当局は、天にも見放されてしまう」と述べた。

23日午後、原告5人は台湾と香港の法輪功学習者100人あまりとともに、中区の遮打花園から香港高等裁までにデモ行進し、上訴状を提出した。その後、朱婉_qi_弁護士は、「本案の司法審理には非常に紆余曲折があったが、最後の最後まで、香港司法が中共政権の共犯とならないことを期待する。情況の好転を願っている」とコメントした。

横断幕には、『「偽、悪、闘」の中共に「ノー」と告げ、台湾と香港人に公正と道理を返す」と書いている(大紀元)