何清漣:中国対外開放政策の重大な変化(3・最終回)

2007/02/11
更新: 2007/02/11

【大紀元日本2月11日】

五.外資による中国投資の挫折の政治的影響

中国が対外開放 引き締めを行うシグナルは他にも見られる。第一に、海外のNGOによる中国での活動を制限している。「学習時報」は、「中国における外国非政府組織に如何に対処するか」と題する趙黎青の署名論文を掲載した。作者は、自身が外国NGOを「天使化」することにも、「妖魔化」することにも賛成せず、「客観、公正な態度」を保持し、「全面」からの評価を行うとしている。しかし、この文章が掲げる対外開放の動向には強い注意が必要である。文章の内容は、次の3つに分かれている。外国NGOは、中国社会の発展と法治の推進に役立つが、一部の外国NGOは、政治の安定を破壊し、また、一部のNGOは中国の腐敗を助長する。この第一部分は、作者の客観と公正を、第二の部分が政治的非難、第三の部分が道徳的非難を表している。

第二に、外国の在中国メディアが情報発信することを制限している。9月10日、新華社は、1つの「法規文件」を公表し、これが国際社会の大きな波紋を呼んだ。これは、「外国通信社の中国国内における新聞情報の管理規則」で、外国通信社(香港、マカオ、台湾の大陸における機関を含む)が中国国内からニュースを配信する際に、新華社通信の審査、許可を経るとともに、新華社の指定した機関が代理しなくてはならないと規定している。外国通信社は、中国国内において、ユーザーと新聞情報の取引をしてはならない。新華社は毎年、外国通信社に対し審査・評価を行い、深刻な違反者に対しては営業免許を取り上げる。新規定は全部で22条あるが、最も重要なのは第11条である。この条文は10項に分かれており、その規制の対象に含まれないものはなく、外国通信社の報道に対し、厳格な政治的規制が加えられている。さらに、この条項は、まさに中国メディアを規制する条項と同じ内容であり、現在、中国の大型サイトのトップページに現れる規定の内容とほぼ同じである。これは、中国政府が、在中の外国メディアを、自らの「友邦」ではなく、「奴隷」として管理するようになったことを示している。

外資の中国進出について、かつて謳われていた目標は、中国経済の発展を通じ、中国に対し、国際経済における行動規則を遵守することを迫り、最終的に中国政治の民主化を促すというものであった。しかし、事実が証明しているのは、中国に進出した外資が、中国に対して国際規則を遵守するように迫ることはなく、自らが、中国における腐敗の制度環境に順応していったということである。

最も重要なのは、こうした大多国籍企業が、本国の政府に対してロビー活動をしており、本国政府に対し、親中国的政策を取るよう迫っているということである。これが、最近、各国政府が、中国の人権状態を故意に軽視してきた原因であり、また、欧米各国において保守主義の政治家が執政の地位にあるにもかかわらず、中国の人権について批判し、改善を促す力に乏しい原因でもある。仮に、中国が対外開放政策の引き締めを継続する場合、これらの大資本グループの中国市場に対する期待値が下がることになる。それでも希望が残っているならば、彼らは本国政府に対して中国政府にとって有利な政策を実行するようロビーイングをするが、この希望が完全に絶たれれば、こうしたロビーイングの力は次第に弱まっていくであろう。この時、中国は、政治上大きな国際圧力に直面することになる。

六. 外貨準備の過剰、人民元の切り上げは資産の縮小を意味

しかし、投機者にとって思いもよらないのは、中国政府の外貨準備の過剰にもう一つの計算があるということである。

今年以来、中国の貿易黒字は目を見張る速さで増加している。中国商務部が最近発表した「今年8か月間の対外貿易の状況及び全年の趨勢」報告によると、中国税関の統計として、今年1月から8月にかけ、中国の輸出入の総額は8917.3億ドルに達した。このうち、輸出が4762.5億ドル、輸入が4154.7億ドルで

両者の差額は607.8億ドルであった。報告は、年全体の貿易黒字は、1000~1200億ドルになるとしている。

過剰な貿易黒字は、どんな国家にとっても危険なことであるのは疑う余地のないことである。1000億ドルもの黒字は、中国の経済成長が、過去のあらゆる時点と比較して、最も国外の需要に依存していることを示している。現在、中国における純輸出のGDP成長に対する寄与率は37%に達している。中国の貿易依存度は既に80%に達しているが、これは、他の先進国、途上国の水準を大きく上回っており、中国は、貿易依存度が世界で最も高い国となっている。

また、巨額の貿易黒字は外貨準備の膨張をもたらしているが、高外貨準備は、為替レートの変動リスクをもたらしている。中国の主要な準備通貨がドルであることから、人民元の対ドルレートの変動は、必然的に外貨準備の価値の変動を引き起こす。2004年11月26日、ニューヨーク市場において、ユーロの対ドルレートが1:1.33で、過去最高値を記録した。この時点で、ドルは、2002年以来40%以上減価した。

保守的に見積もって、中国の外貨準備の80%はドル資産であり、このうち、相当に多くの部分が、米国国債の購入や、米国政府が支持する不動産ファンド会社の投資に向かっている。人民元の切り上げはドルの減価を意味し、中国の外貨準備の深刻な収縮を意味する。7月21点xun_ネ来、人民元は2%切り上げられたが、これによって外貨準備におけるドルの価値が2%減少したと率直に述べる専門家もいる。