朝鮮当局はこれまで、社会主義国家では封建的迷信を認めないと繰り返し強調してきた。ところが現実には、「禁止すればするほど広がる」状況となっており、とりわけ幹部層ほど、ひそかに占い師を訪ねる動きが目立っているという。
韓国紙「朝鮮日報」は29日、内部情報として、年明け以降、朝鮮・平安南道の多くの幹部が家族を連れ、密かに占い師のもとを訪れ、自身の地位が今年も安泰かどうかを占っていると報じた。
背景には、労働党が近く第9回党大会を開催し、大規模な人事異動が行われるとのうわさがある。昇進か降格か、先行きが読めない中、不安を抱えた幹部たちが、占いによって「事前に見通しを立てよう」としているという。
もっとも、こうした動きは完全に秘密にできるものではない。北朝鮮国家保衛機関の要員が占い師の自宅周辺を監視し、出入りする人物を確認しているとの情報もある。しかし、取り締まりのうわさがあっても、「天に問い、運命を占おうとする」人々の熱は冷めていないとされる。
情報筋によると、ある省級検察院の幹部は、多額の賄賂を受け取って麻薬犯を釈放した疑いで捜査が迫っていることを察知し、占い師のもとを訪れ「厄払い」を依頼した。占い師は、儀式を行うことに加え、上層部への贈り物で根回しをする必要があると助言したとされ、幹部は即座に金を支払い、謝礼として電動自転車まで贈ったという。
また、平城市の党・行政幹部の妻が、1月初めに米10キロを占い師に渡し、夫がなぜ自己批判書の提出を求められたのか、立て直す余地があるのかを占わせたケースもあったという。
情報筋は、こうした例は決して少なくなく、地位が高いほど占いに費やす金額も大きいと指摘する。
より目立たないよう、占い師を自宅に呼び、儀式が終わるとすぐ帰すケースもあるが、住宅地区の巡回が厳しく、密告があれば摘発される危険もある。
一方で、占い師側も手をこまねいているわけではない。中には先手を打ち、国家保衛要員に賄賂を渡して見逃してもらう者もいるという。時には、その保衛要員自身が密かに占いを受けていることもあるとされる。
報道によると、新年を迎えると幹部に限らず一般市民の間でも占いに人が殺到し、来年の運勢を占う動きが広がる。取り締まりを掲げても、治安当局がすべてを把握しきれないのが実情だという。
朝鮮では宗教が禁止されているものの、民間信仰を完全に抑え込むことはできていない。将来の行方だけでなく、引っ越しや結婚の日取りまで占いに頼る人も多く、「霊界の話」に大変興味を持つ人も少なくないとされる。占い師が語る死後の世界の話が人から人へと伝わり、次第に誇張され、不安をあおる状況も生まれているという。
さらに、脱北者の証言として、北朝鮮を脱出する前に、あらかじめ占いで日取りを決め、最も「運が良い」とされる時期を選んで行動していた人も少なくなかったと伝えている。
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