東京都は1月19日、上野動物園で飼育されている双子のジャイアントパンダが、1月27日に中国へ返還されるため、日本を出発すると発表した。これにより、日本国内でパンダが飼育されない状況となるのは、約50年ぶりとなる。
返還されるのは、2021年6月に上野動物園で誕生した雄の「シャオシャオ」と雌の「レイレイ」。2頭はこれまで多くの来園者に親しまれ、国内外から高い人気を集めてきた。
東京都によると、27日に上野動物園を出発し、成田空港から空路で中国へ向かい、四川省にあるパンダ保護研究施設に移送される予定だ。最終観覧日は25日で、観覧は事前予約制とし、抽選倍率は24.6倍に達した。
返還期限は当初、2026年2月20日とされていた。返還時期が前倒しされた理由について、東京都は「中国側の受け入れ調整が整ったため」と説明しており、具体的な事情については明らかにしていない。
中国共産党(中共)は、ジャイアントパンダを「友好の象徴」と位置づけ、1950年代以降、他国への贈与や貸与を通じて外交関係の構築を図ってきた。中共側は文化交流や保護研究を名目に掲げてきた。一方で、貸与先の選定や返還の判断が、外交関係や政治的状況と連動しているとの指摘も少なくない。
1972年の日中正常化以降、中共当局は「贈与」という名目で「カンカン」と「ランラン」を上野動物園に貸与し、これが空前の「パンダブーム」を巻き起こした。その後も、パンダはたびたび日本社会で大きな注目を集め、日中友好の象徴として位置づけられてきた。
しかし近年、台湾海峡をめぐる安全保障問題などを背景に日中関係が緊張する中、「パンダ外交」の継続性についても、たびたび世論の焦点となっている。昨年11月、中共の官製メディアの「北京日報」は、両国関係がさらに悪化した場合、日本へのパンダ貸与は見送る可能性を示す記事を掲載した。
また、ジャイアントパンダの飼育には高額な費用がかかる。中国との貸与契約では、年間約1億円の協力金が発生するのが一般的。これに加え、飼育施設の整備費、専用の獣医・飼育員の人件費、餌となる竹の調達費、医療・検疫費用などが継続的に必要となる。
このため、パンダ1頭あたりの総コストは 年間2~3億円規模に上るとみられており、自治体や動物園にとっては大きな財政負担となっていた。
こうした状況を踏まえ、現在の政治的環境下では、日本が近い将来、新たなパンダを迎えることは難しいとの見方が広がっている。
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