米軍が1月3日、ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束する作戦に成功したことを受け、アメリカ在住のキューバ系住民の間では、「次に崩れるのはキューバの共産独裁政権ではないか」との期待が高まっている。
キューバは1959年、フィデル・カストロが一党独裁体制を確立して以来、共産主義政権が続いてきた。現在はミゲル・ディアス=カネル氏が国家を統治している。
エポックタイムズは、フロリダ州マイアミで年齢層の異なる50人以上のキューバ系アメリカ人に取材を行った。その全員が、マドゥロ氏の拘束を実行したトランプ米大統領と米軍を高く評価したという。
大多数は「キューバでも同様の行動が取られること」を望んでいる一方、少数ながら「忍耐と自制が必要」とする声もあり、また一部には「トランプ政権はより大きな戦略のもとで行動している」との見方を示す人物もいた。
マドゥロ氏の拘束とベネズエラの石油資源の掌握後、トランプ氏はキューバに対し、取引に応じるよう呼びかけた。しかし、仮にアメリカがディアス=カネル政権に対して同様の軍事作戦を実行したとしても、それだけでは長年にわたり国民を苦しめてきた残虐で根深い体制を一掃するには不十分だと、多くの亡命キューバ人は指摘する。
彼らによれば、殺害、不当逮捕、拷問、そして言葉に尽くせない数々の暴力行為こそが、共産政権を今日まで存続させてきた要因だという。
アメリカの軍事作戦を支持
イラクに3度従軍した元米海兵隊員で、現在「キューバ系アメリカ人の退役軍人協会」の会長を務めるオスカー・ペレスさんは、「ディアス=カネル氏とキューバの体制全体が解体しなければ、私は祖国を訪れることは考えない」と語っている。
「父にはぜひ自由なキューバを見せたかった。それが父の人生最大の願いだった。しかし残念ながら、叶わなかった。せめて自分の代で実現したい」と述べた。
ペレスさんの父はキューバ生まれの強硬な反共主義者で、政治犯として二度投獄され、計12年間服役。最終的には「国外脱出か死か」の選択を迫られ、密林を13日間歩き、グアンタナモ湾のフェンスを越え、冷戦期の地雷原を抜けて亡命した。彼が最初に出会ったアメリカ人は、米海兵隊員だったという。

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ペレスさんは、接するキューバ人やキューバ系アメリカ人の多くが、米軍に強い期待と支持を寄せていると語る。現政権はすでに不安定な状態にあり、マドゥロ氏の拘束と石油資源の掌握を受け、トランプ政権は「待つことでも利益を得られる可能性がある」との見方を示した。
その一方でペレスさんは、今回の対ベネズエラ軍事作戦を高く評価し、「キューバ人は、同様に直接的な行動が取られる準備ができている」と強調した。
ペレスさんは、「ようやくアメリカの力が示された。我々は何十年も世界の指導的立場にあったが、その政治的影響力を十分に使ってこなかった」と語る。
同氏は、近い将来、西半球に残る他の社会主義政権も相次いで崩壊するとの見通しを示し、「キューバ人とキューバ系アメリカ人は、自由を渇望している」と述べた。

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生存者の証言
ハバナ出身の女性リリーさん(姓非公表)は1961年、政治犯として投獄された。彼女は約10年にわたり獄中生活を強いられたという。
「当時、キューバ人なら誰でも、家族や愛する人の誰かが刑務所に入れられていました」とリリーさんは振り返る。
1959年に西半球初の共産主義国家を樹立し、約50年にわたって強権支配を続けたフィデル・カストロについて、リリーさんはこう語った。「60年代以前は本当に美しかった。悪魔が来る前は——」
エポックタイムズの取材に対し、多くのキューバ人は「カストロ時代の理念と政策は、現在も形を変えて生き続けている」と証言している。
リリーさんは、自身の家族や数万人に及ぶ人々が共産政権下で耐えてきた、劣悪かつ非人道的な環境を語った。政治犯の大半は「国家に反する行為」や「当局侮辱」といった曖昧な罪で起訴され、リリーさん自身は、投獄期間中に一度も正式な罪状を告げられなかったという。
「カストロが権力を握ってから、キューバは急速に崩壊していった」と彼女は述べる。
不当拘束の中で生き延びることができた理由について、リリーさんは、囚人同士の連帯感が支えだったと語る。
「夫や恋人を持つ女性も多くいた。彼らは裁判にかけられ、死刑を宣告されることもあった。裁判から戻ってくると、私たちは小さな聖母マリア像を囲み、祈りました。その夜、彼らが殺されることは分かっていたから」
男性囚人の状況はさらに過酷で、夜ごとに銃殺刑が執行される音を聞かされていたという。

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囚人たちは、暴行、独房監禁、強制労働といった懲罰を受け、時には理由もなく殺害され、面会を禁じられたり、1日に水のように薄いスープや豆だけといった最低限の食事しか与えられないことも珍しくなかったという。
リリーさんは、「こうした扱いは今も続いている」と話した。
釈放後も自由はなく、数か月後、彼女は祖国を脱出。「キューバに戻るためには、すべてが変わらなければならない」と語り、トランプ大統領と米軍による行動は、キューバ系アメリカ人社会から圧倒的に歓迎されるだろうと述べた。
「私たちが自由になる時だ。67年間、誰も本気で行動しなかった。でも今は、何でもやる勇気を持った大統領がいる。すべてが変わり、まだ時間があるなら、私は戻りたい」
もし帰国できるなら、最初に訪れたい場所は、両親が眠る首都ハバナの墓地だという。
亡命した若年層からの声
報復を恐れ、匿名を条件に取材に応じた26歳と27歳のキューバ人女性2人は、より良い生活を求めてアメリカへ渡った経緯を語った。2人はキューバで教師として勤務していた。
「キューバでの生活は本当にひどかった。体制に賛同できず、教師を辞めて国を離れるしかなかった」と、女性Aはスペイン語で語った。
女性Bは自らを反体制活動家とは考えていなかったが、ディアス=カネル政権を支持しなかっただけで、事実上の政治的敵対者として扱われたという。家族を含め、人生に関するいかなる決定も自由にできなかったと証言した。

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「父は家に牛肉があったというだけで、数日間投獄された。たった一食分」と27歳の女性は語る。1963年、カストロ政権下で牛の屠殺や牛肉販売は政府許可なしでは違法とされた。
ハバナ・タイムズによると、2024年8月時点で、キューバ政権は牛の不法屠殺や肉の密売に関連する罪で、1615人の牧畜業者を起訴している。
また、共産政権下では、子供たちに「青年共産同盟」への所属が事実上義務付けられていたという。2人は、参加や支持を拒否したことで、学校や地域社会で見せしめのような扱いを受けたと語った。

Yamil Lage/AFP/ゲッティイメージズ

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「小学生の頃から、毎日のように共産主義支持を強要された」と女性Aは述べる。
体制を支持しなければ、暴力を含む報復があることを、幼少期から植え付けられていたという。女性Bは、若者による抗議活動が行われ、多くが暴行を受け、投獄されたと証言した。
2人の女性は、アメリカがマドゥロ氏と同様にディアス=カネル氏を排除すれば、「すべてが変わる」と口をそろえ、奇跡のような出来事が起きない限り、祖国を訪れるつもりはないと語った。
一方、別の取材に応じた30歳のキューバ人女性ベッツィ・ガルシア・ルイスさんは、いつか家族に再会したいと語るが、軍事介入には慎重な姿勢を示した。
「軍事攻撃となれば、家族の身が心配だ。私の家族は皆キューバにいる。一般市民が傷つくのではないかという恐怖が常にある」と述べ、忍耐と自制こそがより良い道かもしれないと語った。
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