中国地方財政危機 各地賃金未払い抗議相次ぐ

2026/01/19
更新: 2026/01/19

中国で旧正月(2月17日)前に、地方財政危機で、農民工の賃金未払いが激化。天津千人抗議、貴州飛び降り、重慶集結など2026年1月事例など相次ぐ。経済低迷の社会不安拡大を専門家が分析。

中国において、農民工(出稼ぎ労働者)の賃金未払い問題は長年の懸念事項である。当局はこれまで関連政策を複数打ち出してきたものの、根本的な解決には至っていない。中国経済の低迷と地方財政の悪化が続くなか、この問題は一層深刻化し、新たな賃金支払い要求の動きが各地に広がっている。

旧正月を控え、一年を通して外地で働いてきた農民工たちは、本来ならば給与を受け取り、家族のもとへ帰省できることを楽しみにしている。だが、2026年1月に入ってからというもの、各地で相次ぎ賃金の支払いを求める抗議行動が発生している。

重慶・深圳・内モンゴルなどでの連続抗議事例

1月6日には、中国の高級家具メーカー・美克国際家居用品股份有限公司の主力ブランド「美克美家(Markor Home)」の天津生産拠点が閉鎖され、千人以上の労働者が未払い賃金の支払いを求めて抗議した。労働者によると、同社は給与未払いのまま、一線で働く従業員に「無補償退職」を迫っていたという。

1月15日、貴州省貴陽市の中鉄我山不動産プロジェクトでは、建設作業員が未払い賃金に抗議してビルから飛び降りる事件が発生した。

15日、重慶市の九鑫セメント工場でも賃金未払いの問題をめぐり、労働者は県政府庁舎前に集結し、政府による仲裁と支払いを求めた。

また、1月14日には深圳市人民医院宝安病院の建設プロジェクトで、作業員らは現場の門を封鎖して賃金の支払いを要求した。

さらに14日、内モンゴル自治区通遼市では、100人を超える清掃労働者が信訪局(陳情窓口)を訪れ、未払い賃金の支給を求めて抗議した。

14日、中建八局が手掛ける河南省開封市の晋安港プロジェクトでは、農民工の給与約300万元(約6千万円)が1年以上支払われず、作業員たちは荷物を抱えて会社に直訴した。

1月13日には、湖北省の通商建設の労働者が賃金請求の過程で会社関係者に暴行される事件が発生した。同日、広東省恵州市恵東県の中医院建設プロジェクトでも賃金未払いをめぐり、労働者が飛び降り抗議に踏み切り、世論の注目を集めた。

賃金未払い問題の背景と深刻化

実際、2026年の元旦を前に、中国各地ですでに「賃金請求ラッシュ」とも呼べる状況が発生している。北京市では中鉄六局集団の現場前で労働者が抗議したほか、中国共産党広西党委員会の機関紙『広西日報』編集部にも農民工が直接押しかける事態が起きた。さらに国有企業・中国電建の青海プロジェクトでは、労働者が子供を伴って賃金支払いを訴える姿も見られた。

江西省のある建設チーム責任者・程林氏(仮名)は、1月13日に本紙の取材に応じ、「チームを率いて地元の鉄道システムの一部工事を完了させたが、工事代金700万元(約1億4千万円)以上が1年以上にわたって支払われていない」と語った。

「現在は借金で生活をつなぎ、家族も養えず、妻子とも離れ離れになった。何としてもこのお金を取り戻すしかない。社会全体が深刻な危機に直面している」と程林氏が訴えた。

中国で長年、労働者の権利擁護を支援している労務会社のマネージャー・陳剛氏(仮名)は、「労働者が門をふさげば『違法』、横断幕を掲げても『違法』とされる。しかし、賃金を払わない企業は違法にならない。我々は労働監察隊と連携してきたが、2年以上経ってもいまだに支払いを受けていない」と本紙に語った。

また、中国の農民工問題を長期的に注視している観察者・王宇氏(仮名)は、「労働者は家族を養うために働いている。賃金を受け取れなければ生活できず、やむを得ず政府に支払いを求めるしかない」と指摘した。

同氏はさらに、「賃金請求が頻発する根本原因は体制的な問題にある。経済が低迷するなか、一般市民ばかりが重い負担を負わされ、権力と富は官僚層に集中している」と述べた。

「国営経済と独裁体制そのものが問題の根源であり、巨大な権力を握る官僚が一度不正を働けば、その金額は数千万元(数億円)にも上る」とも語った。

中国民主党国際連盟の界立建主席は、「地方財政の悪化が賃金請求をさらに困難にしている。財政赤字で資金が枯渇し、民間企業も国有企業も体制内の組織もすべて資金難に陥っている。その結果、無辜の一般市民からさらに多くの資金を搾り取るようになっている」と指摘した。

洪寧
中国語大紀元の記者。