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「自ら首を絞める」米 対中接近の動きに反発

2025/04/11
更新: 2025/04/11

トランプ米大統領が関税拡大を進める中、スペインのペドロ・サンチェス首相は、4月9日からベトナムと中国を訪問する。この動きに対し、米国のスコット・ベッセント財務長官は、​4月9日、ワシントンで開催された米国銀行協会の会合で、「中国(共産党)への接近は、自ら首を絞めることになる」と警告した。

サンチェス首相の訪中は、スペインと中国の経済関係強化を背景とする。昨年9月の中国訪問では、サンチェス首相は、EUが中国製EVに課す関税を支持する立場を転換すると表明。中国からの投資が進む中、CATLやエンビジョンがスペインで工場建設を進めており、経済的結びつきが深まっているとした。

一方、日本では公明党の斉藤鉄夫代表が、4月22日から25日にかけて中国を訪問する予定だ。斉藤氏は、「要人との会見を通じて日中友好を深め、経済や安全保障などの懸案について、率直に意見を交わし、前向きな解決を目指す」と述べ、中共幹部や政府要人と会談し、石破茂首相の親書を習近平に手渡す計画を明らかにした。

今回の関税措置で、トランプ氏は、タイからの輸入品に36%、ベトナムに46%の関税を課す方針を発表。両国は中国が米国向け関税を回避する迂回ルートとして問題視されていた。トランプ政権1期目の対中関税導入以降、多くの企業が生産拠点を中国からベトナムに移転。電子機器や衣料品の製造が急増し、米国向け輸出が拡大した。ベトナムは、中国から原材料や半製品を輸入し、「ベトナム製」として加工輸出するルートが定着。2023年には、ベトナム製太陽光パネルに中国製部品が含まれるとして、米商務省が調査を開始した。

タイでも同様の動きが見られる。中国からハードディスクドライブや半導体部品を持ち込み、タイ経由で米国に輸出するケースが報告されており、2023年には中国産鉄鋼の迂回輸出疑惑で米国が調査を実施した。タイの製造能力やインフラには限界があるものの、中国依存の迂回ルートとしての役割は増していた。

スペインや日本の政界による対中外交は、トランプ政権が対中圧力を強める中で、各国がいかに中国との関係を再構築するかを示す動きとして注目される。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。