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中国アニメ映画『ナタ2』4月4日に日本公開 世界興行1位の大ヒットの裏に中共の影

2025/04/03
更新: 2025/04/03

中国で大ヒットを記録したアニメ映画『ナタ2(哪吒之魔童閙海)』が、4月4日に日本で公開される。『ナタ2』は1月29日に公開されてから2週間あまりで13億7790ドル(約2100億円)売上げた後、世界各地で上映され21億4631万ドル​の売上をあげた

『ナタ2』の興行収入の規模は2020年に大ヒットした『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興行収入が全世界で約5億3600万ドル(約517億円)だったことを考えるとかなり大きなものだと言える。

中国では「ナタ2」が世界歴代アニメ映画興行収入ランキングで1位になったと大々的に報じられ、日本の映画ポスターにもランキング1位だとしっかりと紹介されている。しかし、この興行の数字には中国共産党(中共)ならではの仕掛けがある。

新唐人電視台によれば、この高い数字の一部分は組織的な動員によってなされているようだ。中共は学校、国有企業、さらには軍隊に対して、団体購入や貸切上映を命じ、「各界がリレー形式で支援し、『哪吒2』のランキングを押し上げる」と公然と宣伝していた。

ネットで拡散されたある団体の案内文書には「国産映画の「大ヒット」と世界進出を支援し、世界興行収入トップ10入りを目指すとともに、従業員の余暇を充実させ、チームの団結力を高めるため、人事・総務部は、従業員向けに国産アニメ映画『哪吒之魔童闹海(ナタ:魔童の海騒ぎ)』の鑑賞を企画する」と書いてある。

期間は2025年2月14日~2025年3月17日、対象者は会社の全現職社員との徹底ぶりだ。注意事項には、各部署(子会社・支社・海外駐在機関を含む)は「業務時間外に従業員を自主的に映画館へ案内し、有効な映画チケットの領収書を提出すれば、費用を精算できる」と細かい配慮までなされている事がわかる。

ある企業のナタ2鑑賞企画の案内文書(ネット画像)

中国本土の多くの映画館で中国共産軍のグループが「ナタ2」を鑑賞するために現れたと中国本土のメディアも報じている。ネット上で拡散している動画では、数人が迷彩柄の制服を着て一列に並んでいる様子が映っている。映画が始まる前に、彼らは並んで中共軍の歌を一緒に歌ったという。

 

「ナタ2」について中国民主党統一本部の杰立堅氏は新唐人の取材に応え「これは中共が多額の費用をかけて作ったプロパガンダ映画ではないか。多くの場所で映画を見に行くと、政府機関、企業、団体が必ず見に来ている。その多くは政府主導の選挙の結果だ」と語っている。

なぜこのように中共当局は「ナタ2」を推しているのだろうか。

ナタは『西遊記』や『封神演義』などに登場し、中国の神話や仏教・道教の伝説に登場する幼少期から天賦の才を持ち、強い武芸を備えた英雄的な少年神だ。

前作『ナタ 魔童降臨』(2019)に続き、今回の続編も運命に抗う少年ナタの冒険譚となっている。日本の人気漫画「封神演義」でも主人公の太公望(呂尚:姜子牙)の重要な仲間として登場している。

一方「ナタ2」の同映画のサイト紹介動画をみると「ナタに課せられた運命、復讐の炎、誰にも止められない」とのストーリを示唆する文言が示され、悪魔化したかのような容貌と化したナタは「俺の道は俺が決める(我命由我不由天)」および「天地が許さねえならまとめてひっくり返してやる(若天地不容,我就扭轉乾坤)」と叫んでいる。

中国人のもともとの伝統的思想とは違うセリフが入っていることに華人圏を中心に懸念の声が上がっている。

アメリカ在住の中国人権弁護士の呉紹平氏は「ナタ2には中国の伝統文化に対する歪曲が見られる、作品のテーマは無神論の宣伝だ」と指摘した。

オーストラリアの歴史学者・李元華氏も、「『天地と戦う』といったナタのセリフは完全に共産党のイデオロギーそのものだ」として、映画のなかのナタは中国の文化大革命で多くの中国人を大虐殺した紅衛兵そのものだ」と評している。

「ナタは本来、魔物退治もするとてもかわいい姿をした子供の神だ。それなのに、映画ではナタを悪魔の子として描いている。それでは中国の伝統文化におけるナタのキャラクターイメージと完全に違う」

中共の哲学は、中国真正の伝統文化と正反対である。天命を敬い畏む伝統文化では、古の中国人は孔子が唱えているように「死生有命、富貴在天(死生は命に有り、富貴は天に在り)」と考え、生死は輪廻し、善悪に報いがあると信じていた。共産党は無神論を信じているだけではなく、無法無天と主張している。

中共は伝統文化を忌み嫌い、中国で政権を握ってから、それを徹底的に排除、消滅させようとしてきた。大紀元の社説「共産党についての九つの論評【第六評】中国共産党による民族文化の破壊)」は次のように記している。

「『主要な人物を神格化しよう』(即ち、個人崇拝)と願い、自分の上に存在する伝統文化の中にある「天、道、神」などのものに束縛されたくなかった。それは、伝統文化での共産党の言行を量れば、全部極悪なものであり、伝統文化が存在する限り、人々はその『偉大さ、光栄さ、そして正しさ』を賞賛しない」

1966年からは中共は国家的な文化破壊活動「文化大革命」を発動し、多くの文化人が殺害され、文物も破壊された。その結果、もともと礼節を重んじるとされた中国人は、観光マナーの悪さなどが世界から指摘されるようになってしまっている。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。