トランプ次期大統領は12月4日、ピーター・ナバロ氏を貿易・製造業担当の上級顧問に指名すると発表した。ナバロ氏は対中強硬派として知られ、第1次トランプ政権では通商政策担当の大統領補佐官を務めた。この人選は、トランプ新政権が対外貿易、特に中国との関係において厳しい姿勢を取る可能性を示唆している。
ナバロ氏は、ハーバード大学で経済学の博士号を取得したほか、民主党員として連邦議会選挙に立候補した経験がある。
トランプ大統領は任命状にナバロ氏の任務について「トランプ政権の製造業、関税、貿易政策を成功裏に推進し、その政策アジェンダを効果的に伝えていくことだ」と示した。
トランプ次期大統領は最近、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと警告した。また、BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)に対し、共通通貨の創設を放棄しない場合、これらの国に100%の関税を課すと忠告した。
ナバロ氏がトランプ陣営の注目を集めたきっかけは、トランプ氏の助手がラジオでナバロ氏の中国に関する発言を聞いたことであった。当時、トランプ氏の選挙チームには経済の専門家が不足していた。また、トランプ氏自身も中国に対する強硬な姿勢を有権者に伝えることを重要なメッセージとして位置づけたいと考えていた。
ナバロ氏の強硬な姿勢と米国の利益を守る決意は、中国に対して厳しい態度を示し、同盟国に対しても米国の立場を明確にした。トランプ氏はナバロ氏の仕事ぶりを高く評価しており、親しみを込めて「私のピート」と呼んでいたとされる。ナバロ氏の再任は、トランプ氏が選挙キャンペーンで掲げた包括的な関税政策を実行する意思を示すものと考えられる。
ナバロ氏は、2021年1月6日の米国議会議事堂襲撃事件に関する下院特別委員会の調査に協力しなかったため、議会侮辱罪で4か月の懲役刑を言い渡された過去がある。検察側は、ナバロ氏にトランプ氏を告発するよう求め、それによって刑務所行きを回避できると提案したとされている。しかし、ナバロ氏はトランプ氏を告発することを拒否し、代わりに服役を選択した。
この行動は、ナバロ氏のトランプ氏に対する強い忠誠心を示すものとされている。
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