内閣府が29日に発表した今年10月の米穀市場は、販売数量の減少と販売価格の高騰がなお続いている。また、民間在庫量は過去最低水準にあり、需給の不均衡が市場に影響を及ぼしている。
集荷・契約・販売状米
令和6年10月末時点における全国の出荷業者の集荷状況は以下の通りである。
- 集荷数量 159.6万トン(前年同月比15.3万トン減少)
- 契約数量 159.1万トン(前年同月比11.8万トン減少)
- 販売数量 30.7万トン(前年同月比7.4万トン増加)
集荷量と契約量は前年同月比で減少しているが、販売数量は増加している。このことから、一部の消費需要が回復している一方で、供給面での課題が浮き彫りとなっている。
民間在庫量の推移
10月末の民間在庫量は245万トンであり、近年の10月末在庫としては最低水準となった。9月末時点の在庫量は前年比-51万トンから-45万トンに修正されたが、依然として厳しい状況である。
令和6年産の米の生産量は前年産より18万トン増の679万トンとされているが、出荷段階での数量が前年比48万トンと大幅に減少していることが主因だ。販売段階では前年比+4万トンと微増しているが、集荷業者の集荷量が減少していることが、在庫の大幅な減少に寄与していると考えられる。
販売数量と販売価格の動向
米穀販売事業者の販売数量は
- 販売数量 前年同月比 91.6%
- 小売事業者向け 84.7%
- 中食・外食事業者向け 99.6%
- 販売価格
- 小売事業者向け 前年同月比 157.6%
- 中食・外食事業者向け 前年同月比 122.4%
販売数量は全体で減少しており、とくに小売事業者向けが15%以上減少した。一方で今年に入って米の販売価格は大幅に上昇しており、小売事業者向けが57.6%の上昇、中食(弁当や総菜)・外食事業者向けも22.4%上昇している。
今回のデータから、在庫不足と価格高騰が米穀市場全体に影響を及ぼしていることは明らかである。特に小売価格の上昇は家計への負担増加を招き、消費動向への悪影響が懸念される。
一方、中食・外食事業者向けの販売数量が安定していることは、業務用需要が市場を支えていることを示唆している。
米の価格が安定するには、在庫の回復や需給バランスの調整が重要であると考えられる。しかしながら、消費者心理や市場の動きが価格に影響を与えており、短期間での落ち着きは難しいかもしれないという見方もある。
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