刑事責任年齢の引き上げは青少年犯罪を隠蔽するだけ

2024/07/12
更新: 2024/07/12

オーストラリア・ビクトリア州政府は、若年層が早期に刑法にかけられることを避けるため、刑事責任年齢を10歳から12歳に、さらに2027年までに14歳に引き上げることを約束した。

保釈中でありながらも380件以上の容疑がかけられている14歳の少年が起こした最近の事件に対する提訴は、年齢を理由に却下された。

これに対し、治安判事は少年について「地域社会に恐怖を与えている」と指弾した。提訴が却下されたことは刑事責任年齢を引き上げる考えの間違いを反映している。

青少年犯罪者の責任を問わないからといって、青少年犯罪の問題に歯止めをかけられるわけではない。

むしろ、多数の青少年犯罪者がすでに感じている免責意識を強める可能性が高く、パンデミック後に急増した住居侵入、窃盗、暴行、強盗の件数を食い止めることにはまったく役立たないだろう。

ビクトリア州の犯罪統計局は、10〜14歳の若者による犯罪容疑件数が過去5年間で37%増加したことを明らかにした。今年では、この年齢層による犯罪容疑件数は6800件を超えた。

しかし、オーストラリア政府機関である生産性委員会(Productivity Commission)が発表したデータによると、2022〜23年度に投獄された10〜13歳の若者はわずか15人だった。

これらの数字は、青少年犯罪者を処罰せず、更生させようともしないこと を示している。多数の若者が、嬉々として自分の犯罪をソーシャルメディアに貼り付け、法を軽んじていることを自慢するのも不思議ではない。

州政府は、子どもは刑事司法制度ではなく学校に所属すべきだとして、犯罪年齢を引き上げる理由を述べているが、これで子どもたちの考え方が変わる見込みは薄い。

これは、青少年犯罪者に、自分たちの行為が招いた結果から逃れられることを教えるだけでなく、成人の犯罪者にとっては、子どもたちは起訴されないということから、自分たちに代わって犯罪を犯すよう若い人々を勧誘する危険な機会を与えることにもなる。

適切な刑罰を

刑事責任年齢を引き上げようと主張する論者が懸念するところは、子どもたちが刑務所に入ることである。

拘留は若年犯罪者の精神にとって有害となる可能性があり、可能な限り避けるべきであることは広く認識されている。

その代わりに、彼らの行動の背後にある要因に対処できない軽い非拘禁刑が言い渡される。

収監されるほど重罪ではないが、その行為とその背後にある意思決定に介入が必要な犯罪者に対して、裁判官が利用できる適切な刑罰がなければならない。

再犯率が激減、模倣すべき更生プログラム

量刑改革は、米国で成功裏に実施された慣行を採用することから始めるべきだ。
カリフォルニア州のランチョ・シエロは、保護観察中の非暴力犯罪者や犯罪者予備軍の若者を対象に、更生と生活技能の習得に重点を置いたプログラムを確立し、成功を収めている。

青少年犯罪者は訓練生として牧場に送られ、高校教育を受けるとともに、実用的で就職に役立つスキルを教えるワークショップに参加させられる。

この牧場は地元の刑務所のわずか4分の1の費用で運営されており、20年間で若者の再犯率を40%から15%に激減させた。

このようなプログラムは、犯罪者を犯罪を助長する社会集団から遠ざけるだけでなく、青少年犯罪者が間違った道に進むのを阻止する。

最も危険な犯罪者とは、失うものが何もない者だ。青少年犯罪者にキャリアを築く希望と機会を与えることは、彼らに失うものを与えることになる。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
ミア・シュリヒトは、メルボルンの公共問題研究所の研究員です。