【菁英論壇】法輪功保護法案成立へ 中国共産党への圧力と国際社会の変化

6月25日、アメリカ下院は歴史的な一歩を踏み出し、「法輪功保護法案」を可決するに至った。この法案は、中国共産党による法輪功への迫害を終結させることを目的としており、中国共産党の強制臓器摘出行為に対する国際的な非難が背景にある。この法案がもたらす米中関係及び国際人権政策への影響は、計り知れないものがある。

6月25日の午後、アメリカ連邦議会下院は「法輪功保護法案」を通過させた。この法案は、中国共産党による法輪功への迫害をただちに停止するよう要求する内容であり、アメリカが、中国共産党の強制臓器摘出行為に対して阻止措置を講じること、また中国国内でこれらの行為に関与または協力する者に対して経済制裁やアメリカの入国禁止措置、資産凍結などを行うことを求めている。

この法案は、今後上院での承認と大統領の署名を経て、正式な法律として成立する過程にある。法案の重要性と、それが中国や世界の未来に与える影響に注目が集まっている。

中国本土で禁止されている宗教団体「法輪功」の抗議者グループが、公園で政府の手による中国での信者への虐待疑惑を示すパフォーマンスを行った(写真のクレジットは MIKE CLARKE/AFP via Getty Images)

25年にわたる真実の伝達が成果を見せ、西側諸国政府の姿勢に変化

テレビプロデューサーの李軍氏が新唐人テレビの番組『菁英論壇』で伝えたところによると、アメリカの下院は「法輪功保護法案」を可決したという。この法案は、中国共産党による法輪功への迫害と、政府が関与しているとされる強制臓器摘出の行為を非難する、アメリカ初の法律である。共和党のスコット・ペリー下院議員がこの法案を提出し、彼は議会での演説で、この法案が25年遅れていると指摘した。

提案された法案には、施行日から180日以内にアメリカ大統領が議会に制裁対象者のリストを提出する義務があると記されており、このリストは定期的に更新されることになっている。また、国務長官と保健当局には、中国共産党の臓器移植に関する政策とその実体について、1年以内に議会に報告することが求められている。さらに、アメリカは中国共産党との臓器移植に関する協力を控え、同盟国や国際機関と協力して法輪功への迫害を世界に明らかにする活動を進めるべきだとも述べられている。

李軍氏の話によると、提案された法案が上院の承認を受け、さらに大統領の署名を経て法律になる場合、アメリカは初めて中国共産党が法輪功に対して行っている迫害と、法輪功の学習者から臓器を強制的に摘出する行為を、中国共産党歴史上の恥部として記録に残すことになる。特に、法輪功の迫害に関わった人々の名簿が公表された場合、中国共産党の最高幹部の名前が含まれている可能性があり、これが明るみに出れば、中国共産党にとっては大きな打撃となるであろう。

この措置が実施されると、他国や国際機関、EUも似たような措置を講じる可能性が高まり、その時点でまだ中国共産党を支持している人々は、歴史に痕跡を残す大きな誤りを犯すことになるかもしれない。

カリフォルニア州サンノゼで法輪功信者の若い信者が瞑想訓煉を行う。法輪功は子供でもできる精神修養方法で、政治活動はしない (写真クレジットは JOHN G. MABANGLO/AFP via Getty Images)

中国共産党の強制臓器摘出と国際的非難

中国語大紀元の総編集長である郭君氏は、『菁英論壇』での発言で、アメリカが新法案を通過させた場合、間違いなく世界的な連鎖反応を引き起こすだろうと指摘した。これはほぼ確実視されている。

郭君氏は、「実際、私は10年以上前に、中国共産党による強制臓器摘出の問題を、国連の人権会議で提起した経験がある。その時、スピーチを聞いた多くの国の人権関係者や外交官が衝撃を受け、私たちとの対話を求めてきた。その対話を通じて、私たちは多くの証拠を提示し、彼らの多くが、これを深刻な人権侵害として認識するに至った」と述べた。

郭君氏は、多くの国々、特にヨーロッパ諸国の官僚は、アメリカが先頭に立つことになれば、自国もそれに続く意向を示していた。これは当時の多くの国々の共通の立場であった。そのため、アメリカが今回、先鞭をつけることになれば、他の多くの国々も法律の制定や具体的な行政措置を講じて追随するだろうと、考えている。

郭君氏は、大紀元が18年前に初めて報道した「強制臓器摘出」問題について、長年にわたり困難な闘いを続けてきたと述べた。郭君自身、最初の証言者2人をアメリカの有名なメディアに連れて行き、彼らの話を直接聞いてもらう手配をしたことを覚えている。

ある時、編集長からこんな言葉をかけられた。

「私自身、中国については詳しくないのですが、ここに詳しい人物がいますので、彼にこの件を任せるのも良いかもしれませんね」

しかし、編集長が紹介したのは中国人で、なんと中国共産党中央テレビ局からの交換留学生にして実習中の記者であった。その時、私と一緒にいた人の中には、中国共産党の国家安全部出身で、その人はアメリカの主要メディアに派遣されてきている中央テレビ局の記者たちの事をよく知っていたのだが、その背後にある実情を、熟知していた人だった。その人はその場で顔色を失い、何も言わずにその場を去った。これは10年以上も前のことである。

数年前、香港の多くの人々が臓器摘出の問題について話し始めた際、最初は信じられないというのが一般的な反応だった。その理由は、そんなことが起こるなど想像もつかないからである。私たちが街頭で臓器摘出の模擬実演を行ったとき、多くの人がその場面に衝撃を受け、恐怖を覚え、信じられないと感じたのである。

しかし、「反送中運動(香港で発生した大規模な抗議)」が起こった後、多くの香港人が徐々に中国共産党の実体が分かるようになり、中国共産党がそのような理不尽な行為をしていると信じるようになった。特に近年、中国共産党の過激な行動はより露骨になり、被害者は法輪功の学習者だけでなく、良心を持つ一般市民にも広がっている。中国では、多くの人々が行方不明になっており、特に行方不明になっているのは幼児ではなく、臓器が健康で未汚染の若者たちである。彼らが臓器摘出の新たな主なターゲットになっているのだ。

中国共産党は、中国社会をコントロールするために巨額の資金を投入し、広範囲にわたる監視システムを構築しているが、それでも多くの若者が昼間に失踪し、見つからないという現実がある。遺体が見つかった場合でも、臓器が摘出されているケースが多く、未解決の事件が存在することから、生体臓器摘出が中国共産党の監視下で行われている可能性が疑われている。

中国の市民もこの問題に気付き始め、インターネットを通じて互いに警戒を促している。特に、学校で実施される子供たちの血液検査や無料健康診断に対して、親たちの不安は高まっている。

郭氏によれば、中国共産党のような不正な体制では、市民はただの人間ではなく、高官の寿命を延ばし党の利益を図るための器官移植用の「道具」として扱われているとのことである。このような恐ろしい状況が続けば、将来的には私たち全員に悪影響を及ぼす可能性がある。

2024年7月1日、全球脱党日、中共の衰退の気配が、意図的に装飾された華やかな表面を通り越して、迫ってきた。この党は、歴史に埋もれた旧ソビエト連邦の過ちを中国に移植され、2021年に100周年を迎えた後、さらに3年間延命している

米中関係における新たな局面、中国共産党の弱点をつく

「アメリカ対中共危機対応委員会」の林曉旭(りん ぎょうきょく)」委員は、『菁英論壇』での発言で、アメリカ政府はこれまで中国共産党との関係を優先しており、法輪功問題は避けがちであったと指摘している。法輪功はキリスト教とは異なり、あまり知られていないため、中国共産党の誤解を招く宣伝により、アメリカが法輪功を理解するのに時間がかかったのだと述べている。

林氏はまた、該当の法案が下院を通過するためには難しい道のりがあったと語っている。実際に、この法案は2021年の第117議会で提出されていたものの、ペリー議員が提案した際に、外交委員会で多くの議論が巻き起こり、合意には至らず、前の議会では結局棚上げされてしまっていた。

第118議会において、ペリー議員は外交委員会での案件通過と下院本会議での投票実現を、自らの大きな努力と両党の支持によって成し遂げた。この功績に対して、彼の功績は大きく、敬意を表されるべきことである。

軍人を経て政治家となったペリー氏は、法輪功が過去25年にわたり、中国共産党から受けてきた迫害の深刻さを理解している。しかし、法輪功への加害者や迫害者を明確にして対応する国際的な法案は、まだ存在しない。彼はこの問題が中国共産党にとって、特にデリケートなものであることを把握し、「中国共産党に対抗するには、この脆弱性を攻める必要がある」との見解を示していた。

さらに、生体臓器摘出問題に関して、中国共産党は長年にわたって、国際社会に虚偽の情報を流し、この残忍な行為を利益追求のために行ってきたとされている。中国では、人々の生存権を踏みにじり、臓器を奪うための体制が構築されている。これは、現代中国共産党が隠蔽している重大な罪悪なのだ。

これら2つの問題を攻撃の矛先として、中国共産党の弱点にすることは、アメリカにとっての大きなアドバンテージになり得る。この点を踏まえ、ペリー議員は法案を前進させるために、相当な努力を注ぎ、下院での可決は特筆すべき成果であり、米中関係における転換点と見なされている。

林曉旭氏の報告によれば、アメリカ議会や宗教自由委員会はこれまで毎年、中国共産党の人権侵害について報告してきた。報告内容には臓器の強制摘出や法輪功への迫害も含まれていたが、それらは報告に留まり、具体的な制裁措置には至っていなかった。しかし、今回の法案では実際の制裁措置が取り入れられており、それが大きな意義を持つとされている。

 

中国共産党の問題行動が明るみに出るにつれ、国際的な共産党への包囲網が形成されつつある

大紀元新聞の主筆、石山氏によると、法輪功は中国で生まれ、多様な民族や地域、政治的な歴史とはあまり関連がない一般市民から成るため、チベット、新疆ウイグル、台湾、香港の問題とは根本的に異なるものだ。その結果、アメリカ人は、かつて法輪功に関する問題を二の次にして、チベット、新疆ウイグル、台湾、香港の問題に焦点を当てる傾向にあった。なぜなら、これらの地域の問題は政治的、文化的な側面がはっきりしているからである。

法輪功に関する問題は複雑であり、中国共産党による国家権力を背景とした弾圧が行われているため、アメリカがその迫害を止めることは一層困難である。これは、アメリカと中国の関係における根本的な変化を反映していると考えられる。

林曉旭氏は『菁英論壇』で、アメリカと中国の関係に、根本的に変化が生じていると述べ、その変化が重要な要因であると強調した。近年、アメリカが中国共産党と距離を置く動きは、西側が中国共産党の実体を理解する上で大きな影響を及ぼしている。

最近、南シナ海でフィリピンとの衝突や中国共産党のインド太平洋地域への脅威が増えていることから、国際社会は中国共産党に対して、包括的な封じ込めを図り、経済面でも距離を置くべきだという意見が強まっている。この状況は、多くの人々の利益に関する考え方にも変化をもたらしている。

さらに、中国共産党の過去の不正行為が次々と暴露され、現在では広く認識されているように、中国共産党が国内の市民に対して広範囲にわたる迫害を行っていることが明らかになっている。チベット問題は長年にわたり続いており、新疆ウイグル自治区ではいわゆる強制労働キャンプの写真が公開され、多くの証拠が示されている。総じて、国際社会は中国共産党の実体をより明確に理解し始め、その結果、中国共産党は、広範囲にわたって非難されるようになってきた。

米中関係がこれ以上悪化すると、アメリカの国務省は準備ができ次第、適切な対応を取ることになるだろう。議論されている法案には、制裁対象者のリストが含まれており、これは米国務省が既に把握しているものだ。非政府組織「法輪功迫害を追及する国際組織」の尽力により、リストの多くが国務省の知るところとなっているが、いつ実際にこれが使われるかはまだ決まっていない。

林曉旭氏によれば、アメリカが、中国共産党に適用している政策は影響力があるとされる。国際社会がこれに賛同し、特に医療分野で、アメリカが新しい法律に署名したことに応じて、アメリカの医師団体や移植医療の専門誌が、中国の研究論文を掲載しなくなる可能性があることを理解すると、中国共産党にとっては大きな打撃となるだろう。

臓器が、合法的なルートから得られたものであるとの証明ができない場合、国際社会はそのような協力を絶つ動きを見せている。実際、過去には国際的な医師団体が、中国の医師との協力を全面的に停止することを考えたことがあったが、中国共産党の巧妙な策略により、その計画は頓挫した。中国共産党が臓器の強制摘出を行っているという事実がさらに明るみに出れば、国際社会は罰則を厳しくすることになるだろうし、そのような展開が予測されているのだ。