中国共産党(中共)商務部の最新データによると、今年1月から4月の外資の実質利用額は3602億元(約7兆8120億円)で、前年同期比27.9%の減少を記録した。専門家は、外国企業が中国での投資を控える理由を、複数指摘している。
中共商務部が発表したデータによると、今年初めからの4か月間で外資の実質利用額は3602億元に達し、前年同期比で27.9%減少した。この減少率は、直前の3か月の26.1%から1.8ポイント増加している。
特に製造業への投資は1036億9千万元(約2兆2811億円)で、全体の約28.8%を占めている。
商務部外資司の責任者は、今年初の4か月間の外資減少は、昨年の高い基準値が影響していると指摘した。
ただし、中共の公式データは、不都合な情報を隠す傾向があるため、実際の状況は、公表されている内容よりも悪い可能性がある。
米国の経済学者、黄大衛氏は、「外国企業が中国の投資を減らしているのは、中国が最近の何年間かで自己評価を過大評価し、自国が強大であり、外国からの投資を必要としないと考えているからだ。
華為(ファーウェイ)などの企業が、自社を過剰に宣伝し、世界一だと主張することで、外国企業に、中国でのビジネスは歓迎されていないと感じさせ、ネガティブな圧力となっている。これが外資の撤退に繋がっている」と述べた。
実際、新型コロナウイルスが流行して以降、中国経済は不安定さを増し、不動産市場の崩壊、デフレーション、消費の低迷といった多くの問題に直面している。
株式市場の持続的な下落は投資家の信頼を深刻に損ねている。特に昨年4月、中国政府が「反スパイ法」と「データ保護法」を改正し、企業に対する圧力を強めたことで、多くの外資系企業に不安をもたらし、中国でのビジネスの縮小に繋がった。これは、中国国内の投資家の信頼も失わせている。
黄大衛氏は、外国企業が中国での投資を減らしている3つの主要な理由を分析している。
第1に、3年間の厳しい感染対策後、経済活性化のための政策が不足している。税制を軽減したり社会保障の充実など経済刺激策が足りず、国内経済への下向き圧力が増し、外国資本の投資が減少している。
第2に、ロシアとウクライナの紛争後、中共がロシアを支持し続けることで国際社会の懸念が高まり、追加の貿易制裁のリスクが生じている。
第3に、中米や中欧との貿易摩擦がある。特に今年、中国の過剰な輸出が問題となり、欧米向けのEV、バッテリー、風力発電機のダンピング問題に関する調査が進行中で、多くの外資系企業のプロジェクトが一時的に中断されている。
最近の中国外貨管理局のデータによると、2023年の外国企業による中国への直接投資は、1993年以降で最も低い水準になり、前年比で82%もの大幅な減少を見せた。
この状況を改善するため、中共は最近、「外国の投資家が中国への投資に対する信頼を深めることができる」とする一連の新措置を発表した。これには、市場アクセスの拡大、ビザ規制の緩和、そして銀行、保険、医療分野への外資導入の促進が含まれているが、これらの施策が、実際に効果を上げているかは疑問視されている。
専門家たちは、中共が政治的な安定を経済成長以上に優先しているため、ビジネス環境が政治色を強く帯びてしまっていると分析している。このため、外国の企業は不安を抱えており、どんなに魅力的な政策を展開しても、根本的な問題を解決することは難しいとの見解を示している。
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