「政治家は“徳”を積んで」衆院特別委参考人、裏金再発防止求める

2024/05/28
更新: 2024/05/28

27日、衆議院政治改革特別委員会では4人の参考人が招致され、今国会に提出された政治資金規制法改正案等について意見陳述した。政治資金パーティーの対価受領方法の制限や券購入者の公開基準引き下げなど、再発防止策の実現を求めた。このほか、国民の政治教育の強化や、政治家への高尚な精神を要求といった指摘もあった。

東京大学の谷口将紀教授は、まず事件の再発防止策として、政治資金パーティーの対価受領を預貯金口座の振込に限定し、収支報告書の記載と客観的な記録を照合できるようにすべきだと主張。パーティー券購入者の公開基準引き下げにより、購入履歴が正しく報告書に記載されているか、国民の監視の目を強化する必要性も訴えた。

「我が国の政治は、ロッキード事件やリクルート事件など失敗から多くを学んできた。今回の問題からは何を学び、どのような成果を世に問えるのか。現在生きている国民はもちろん、将来の国民すなわち歴史が注視している」と谷口氏は強調。各会派の建設的な議論により民主政治の健全性を内外に示すことを求めた。

駿河台大学名誉教授の成田憲彦氏は、企業献金の規制強化と政党の政策活動費の完全公開を求める意見を述べた。

成田氏は、かつて企業献金容認論者だったが、近年の日本の衰退の一因が長期的な資源配分の偏りにあり、その背景に献金の影響があると指摘。教育への公的資金が少ないのは、教育業界からの献金が少ないためではないかと分析した。

さらに成田氏は、日本の政治資金規制法の特徴として、政治活動の自由が過度に重視され、ルール遵守のための仕組みが欠如していると指摘。罰則以外にも、第三者機関による監視や勧告、資格停止などの措置を設けるべきだと提言した。

麗澤大学の川上和久教授は、政治不信の根本的な解決には政治家自身のモラル向上が不可欠だと訴えた。

川上氏は、真面目に政治活動をすればするほど資金がかかるのが実情だと指摘。政治資金パーティーについても、幅広い支援を集めるための政治家の努力と捉えた上で、透明性の向上を求めた。

一方で、川上氏は、政治資金規正法の改正だけでは政治不信の解消につながらないと主張。各種世論調査で政治家のモラルへの不信感が強いことを示し、「政治家一人一人が『』を積んでいただいて、初めて信頼の貯金ができる」と訴えた。鈴木貫太郎元首相(海軍大将)の言葉を引用し、「徳を持って立つものは永遠だ」として、政治家は国民から「この人なら任せられる」と信頼されるような身の処し方をすべきだと説いた。

元参議院議員の平野貞夫氏は、裏金問題を契機とした政治改革の議論の中で、国民への政治教育の重要性を強調。民間を含む政治への緩慢な態度を問題視している。

「我が国の議会政治教育は世界で一番遅れている。国民の政治教育ができていないところに、この問題の根本がある」と指摘。今年が議会政治実現自由民権運動150年であることに触れ、「この運動をやった方たちの血と汗、戦争で亡くなった方たちの魂が、今の憲法を作った元だ」と述べ、歴史に学ぶことの重要性を説きつつ、「歴史に学ばない民族は滅びる」と警鐘を鳴らした。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。