社会 「認知・判断」を国際機関や政府、マスコミに任せていいのか

【独占】パンデミック条約で共産主義化が加速、ワクチン購入契約は「不平等条約」=谷上昇氏(上)

2024/04/25
更新: 2024/04/28

「実質上、政府は幕末以降再び一企業と『不平等条約』を結んだといっていいでしょう」

大阪府和泉市議会議員の谷上昇氏は昨年9月、コロナワクチンに関する日本政府と海外大手製薬会社との契約の不透明さをめぐり、議場で発言した。

これまで、コロナワクチンの深刻な副作用に関する様々な論文が全世界で大量に発表されていたにもかかわらず、日本では他国を大きく引きはなす勢いで追加接種が続けられた。国内の死者数は異常なほど増加しているにもかかわらず、日本政府はワクチンに関する製薬会社との契約書さえ公表できない。

こうした日本の現状を、谷上氏は安政年間にアメリカなど五か国と不平等条約を締結した幕末の日本と重ねた。

世界統一国家のような考え方

今月19日、来るべきパンデミックに対するWHOの権限強化が懸念される「パンデミック条約」および「国際保健規則(IHR)の改正」に関する勉強会が、東京・永田町の衆議院議員会館で開かれた。

パンデミック条約の最新草案には、ワクチン接種を各国に迅速に行き渡らせるための体制構築や、誤情報への取り締まりなどに関する内容が盛り込まれている。IHRはWHO加盟国が従わなくてはならない国際規則だが、緊急時におけるマスク着用やワクチン接種、特定の治療法、検疫、移動制限、隔離措置などの推奨事項が義務化される方向で改正手続きが進んでいる。

どちらも5月27日から始まるWHO総会での採択が迫る。パンデミック条約は2/3多数で可決、18か月以内に批准される。IHR改正は単純多数で可決、12ヶ月後に発効され、賛同しない国は10か月以内であれば拒否(WHO脱退)できる。

2024年4月19日、東京・永田町の衆議院議員会館で開かれたWCH超党派議員連盟による勉強会の様子。マイクを握るのは情報戦略アナリストの山岡鉄秀氏。右隣は大阪市立大学医学部名誉教授の井上正康氏で、左隣は大阪府和泉市議会議員の谷上昇氏(白露/大紀元)

日本政府は今、コロナ禍において実施されたワクチン接種をはじめとする感染症対策が有効だったか否かを十分に検証しないまま、これらの取り決めを受け入れる方向で交渉を進めている。「今、日本人に欠けているのは認知・判断なんです。認知と判断を全部WHOに渡してしまったんですよ」と、谷上氏は勉強会終了後にエポックタイムズに語った。

「世界統一国家のような考え方が正しいという大きな流れに乗っていこうという風潮が、今の日本にはある。たぶん他の国もそうだと思うんですが、共産主義化していくような流れになっています」

「WCH超党派議員連盟」による今回の勉強会には、パンデミック条約およびIHR改正に懸念を有する議員や医師、識者、ジャーナリストらが出席し、厚生労働省ならびに外務省の官僚と質疑応答を行い、意見を交わした。

識者らが指摘したのは条約締結プロセスの不透明さ、遺伝子ワクチンの危険性、言論統制への懸念など。一方で官僚らは、「まだ何も決まってない」ことを強調した上で、「(条約の採択が予定される)5月末のWHO総会を目指して見直しを図り、パンデミックの教訓を踏まえつつ、国家主権をしっかり確保するということを念頭に、建設的に交渉に対応していきたい」などと述べた。

この問題に対する国民の関心は高まっている。13日には、パンデミック条約とIHR改正に反対するデモ集会が東京・池袋で開催され、事前の予想を大きく上回る2万人近くが集まった。参加者の多くはデモに初めて参加するような一般の人々で、ワクチン接種やマスク着用が強要されるのではないか、言論や行動の自由が奪われるのではないか、といった素朴な懸念を共有していた。

「これは兵器、ワクチンじゃない」米ジャーナリスト

19日の勉強会で一際注目を集めたのが、元アメリカ軍情報将校でジャーナリストのマイケル・ヨン氏の発言だった。戦争のエキスパートであるヨン氏は、日本の厚労省ならびに外務省の官僚を前に、情報戦争における「適切な言葉の使用」の重要性を力説した。

「戦争の最終形態は情報戦です。この情報戦においては、適切に言葉を使うことが非常に重要です。婉曲表現ではなく正確な言葉遣いをしなければなりません。例えば、『ワクチン』と呼んでしまえば、これは言葉遣いが正しくありません。これは『兵器』であり、『ワクチン』と呼ぶべきではありません。『mRNA遺伝子治療』も間違いです。これは『兵器』です。そして『条約』といわれるものも、『兵器』であると考えなければなりません」

2024年4月19日、東京・永田町の衆議院議員会館で開かれたWCH超党派議員連盟による勉強会の様子。マイクを握るのは元アメリカ軍情報将校でジャーナリストのマイケル・ヨン氏。右隣は通訳を務めたジャーナリストの我那覇真子氏(白露/大紀元)

国際政治ジャーナリストの及川幸久氏は、16日に発表されたパンデミック条約の最新ドラフト(草案)21条に規定された「締約国会議(COP:Conference of Parties)」について取り上げた。「COPという新たな官僚組織がWHO内に誕生する」と指摘し、ドラフト内の婉曲表現に隠された本質に切り込んだ。

「パンデミック条約には、国家主権を侵害するだとか、個人の自由を奪うだとか、ワクチン接種を義務化するといった内容はありません。それどころか、『国家主権や個人の自由を尊重します。ワクチン義務化なんか絶対にしません』と言っています。しかし、加盟国は実質的にこのCOPに白紙委任する、主権を譲渡することに当たります」

大阪市立大学医学部名誉教授の井上正康氏によると、昨年9月までに発表された3000本もの国際論文で、遺伝子ワクチンによる「ものすごい被害が世界中で起こっている」ことが明らかになっているという。

「しかも、その被害のトップランナーが日本人であるという事実がございます。厚労省が頼りにしている委員会が、一体どういう背景でこの世界の3000本もの論文を無視して逆の発言をなさっているか、これは科学者としては考えられないことです」

勉強会では、コロナワクチン接種が開始されて以降の日本国内における死者数の増加について厚労省の官僚が見解を述べたが、ジャーナリストの藤江成光氏が「その見解は国立感染症研究所が2020年7月に出したものではないか。異常に死者数が増加した2022年2月以降の再調査はないのか」と問いただすと、厚労省側は言い澱み、議論は平行線をたどった。

2024年4月19日、大阪府和泉市議会議員の谷上昇氏が「旧江戸城外桜田門」近くでエポックタイムズの取材に応じた。写真は桜田門の石碑銘板(白露/大紀元)

もう1つの懸念「地方自治法改正」

勉強会終了後、大阪府和泉市議会議員の谷上昇氏がエポックタイムズの取材に応じた。谷上氏は、パンデミック条約およびIHR改正という国際的な問題に加え、2月29日に閣議決定されて3月1日に国会に提出された、地方自治法の一部を改正する法律案について、地方議員の立場から警鐘を鳴らした。

この地方自治法改正によって、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生または発生する恐れがある場合」に、国が地方へ必要な指示を行えるようになる。谷上氏は「その具体的事項が政令などで定められるよう委任されていることもなく、非常に曖昧な表現です」と指摘している。実際、昨年11月の総務委員会で総務省はこの法改正に関して、「現在想定されていない事態を具体的に示すのは困難である」と答えている。

谷上氏はこうした状況を踏まえ、「適用のトリガーとして立法する段階で唯一想定されているのは、WHOの緊急事態宣言、パンデミック宣言が発動された場合ではないでしょうか」と指摘している。

「通常の順序だと、まず条約などの改正があって、その下に国内法の整備があるはずなのに、これらが同時で進んでいます。次のパンデミックが宣言された場合も、自動的に日本がWHOに追従する形で行動をしなくちゃならないということになりかねないので、しっかり国内の方も目を向けていかないといけません」

コロナ禍において、人々の権利が奪われてしまったことが大きな問題だと谷上氏は考えている。「特に子供の大切な時間というのは本当に貴重な時間だったんですが、全て奪われてしまいました」

「今だったら検証できると思うんですよ。あの緊急事態宣言が本当に必要だったのか。ワクチンもそうです。それなのに、事実に基づく検証もされてないのに、次はこれがいいんじゃないか、あれがいいんじゃないかと進むので、それはおかしいでしょうという話なんです」

大紀元報道記者。東京を拠点に活動。