相次ぐメガソーラー火災、ずさんな防災…リスクは「火を見るより明らか」地方議員

2024/04/18
更新: 2024/04/18

太陽光発電所での火災事故が相次いでいる。15日に発生した仙台市青葉区のメガソーラー火災は各大手紙も報じる事態となり、先月末の鹿児島県伊佐市での爆発事故でも消防士4人が重軽傷を負った。脱炭素社会実現のため再エネ、特に太陽光パネル推進一辺倒の政府だが、防災対策のずさんさについて「自ら災害を呼び込むようなもの」と地方議員は指摘する。

経済産業省エネルギー庁電力安全課の再エネ担当官によると、令和4年度までのメガソーラー火災事案は年間1件程度。担当官はエポックタイムズに対し「草が燃える場合は電気設備そのものの火災ではないので件数には入らない。規模の小さい家庭用ソーラーも記録していない。しかし、今回の仙台の火災は規模が大きいため、報告が上がるものとみている」と述べた。

仙台や伊佐のメガソーラー火災の原因は公表されていない。一般論として、発電機器の火災リスク要因とは、製造工程や完成品の品質管理、施工時の組み立てやケーブル接続の問題などが考えられる。加えて、ソーラーパネルの下の雑草処理を怠ると、機器の不良で発生した火花が燃え移るリスクも高まる。

19年の台風15号により大規模損壊した千葉・山倉水上メガソーラーでも、複数の火災が発生している。調査した発電事業者の京セラTCLソーラーによれば、強風によるパネル・アイランドの揺動による局所的な応力の集中、施工業者の不適切な配線処理、小動物がケーブルをかじったことによる漏電と落ち葉の着火、太陽光パネル裏の余剰配線のショートなどを可能性として挙げた。

技術コンサルタントの室中善博氏は、「設備の施工とパネルの製造時の問題がある。予見可能な事故を想定した上で必要な対策を取るのが全うなやり方だが、無責任な施工など配慮義務違反をしているケースをよく見かける。こうした事業者に認可を与えた行政の責任も問われるべきだ」と、エポックタイムズの取材に答えた。

「パネルの薄膜に微小なゴミ、欠陥が残っていれば部分的に過熱され、ホットスポットが形成されることがある。温度が異常に高くなり100℃を超えることも珍しくない。これがモジュール自身の発火や構成部品の損傷につながり、周囲の機器にも火が拡がる可能性がある。モジュールの周辺環境にも影響を及ぼし、積もった枯葉が燃えることもある」と室中氏は指摘する。

消防大学校の資料によれば、太陽光発電設備の火災には水を使った消火は可能だが、活動中も発電し続けている事や、火炎による明度の上昇により昼夜問わず発電状態になる事から、感電リスクがある。消防では絶縁装備の用意しなければならない。

こうしたリスクに対応するには、専門知識を持つ人材の確保が不可欠だ。産経新聞によると、経済産業省は「再エネのセキュリティに精通した人材が不足している」として、地域の太陽光発電事業を支えるメンテナンスの担い手確保が急務だとしている。

メガソーラー火災リスク 火を見るよりも明らか

岩国市議会の石本崇議員は、里山に悪影響をもたらすメガソーラーに反対する立場から、市内外での活動を続けている。特に、上海電力の山林におけるメガソーラー建設について、かねてより火災の危険性を強く懸念してきた。

「太陽光パネルの敷設は建築基準法の対象にならない。大規模な山林火災が起これば、自衛隊の協力を要請するような惨事になりうる」と石本氏。「パネルの周辺が生い茂っている場合、火災が延焼する可能性もある」と警鐘を鳴らした。

現状、国が進めるFIT・FIP制度や再生可能エネルギー政策は、規制緩和によって太陽光・風力発電を積極的に推進するものだ。しかし、発電施設を身近に擁する石本議員にとって、日々感じるのは再エネの恩恵ではなく、住民たちの不安だ。

建設基準法のほか消防法、労働安全衛生法などの現行法制ではメガソーラーの防災・安全性確保に十分に対応できない恐れがある。

石本議員は、「国レベルでの推進と並行して、地方自治体でも防災の観点を取り入れた条例整備が必要だ」と訴える。再生可能エネルギー促進地域と抑制地域を設定し、防災対策を盛り込んだ条例の可決を目指すべきだと主張している。

石本氏は再生可能エネルギー自体を否定しているわけではないとしつつ、「大量の太陽光パネルを輸入することで、自ら災害を呼び込むようなものだ。規制を設けないといけない」と強調。やみくもに再生可能エネルギーを導入するのではなく、防災対策を徹底すべきだと訴えた。

石本氏は多発する太陽光発電所の火災事故を念頭に、「メガソーラー火災のリスクは火を見るよりも明らかだ」と心情を吐露した。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。