経済産業省は2日、森林法に違反して開発行為などを行なったとして、太陽光発電事業者9社を対象に再エネ促進賦課金(FIT、FIP)の交付を同日付で一時停止すると発表した。再エネ開発をめぐっては、地元住民とのトラブルや環境破壊などの弊害が多く、政府は法改正を通して厳格に対応する構えを示した。
交付金の一時停止措置は、1日に施行された改正再エネ特措法に基づくもの。法令に違反した事業者に対し、国の固定価格買い取り制度に基づく交付金(FITやFIP)を一時停止できるようになった。
齋藤健経産相は会見で、交付金停止となった9事業者は「森林法違反が明らか」だったとし、「法施行後、速やかに対応」したと述べた。
さらに、「現地調査を行う体制も強化しながら、違反案件には厳格に対応し、地域と共生した再エネの導入を進めていきたい」と語った。
FITは太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電気を、一定の期間にわたって火力などよりも優遇した価格で買い取る制度だ。再エネを促進するため、旧民主党政権下で導入された。
改正法では、関係法令に違反した事業者に対し、再エネ促進賦課金(FIT、FIP)の交付を一時停止することで、早期の是正を促す。経産省によると、事業者が法令違反の状態を解消すれば、一時停止した交付金は事業者に戻される。
再エネに関連する問題に取り組む全国再エネ問題連絡会の山口雅之共同代表はエポックタイムズの取材に対し「改正再エネ特措法は私たちの望む方向に動いているのは確かだ。しかし、本質的な解決策になっていない」と指摘する。
山口氏は、改正すべきは再エネ特措法だけではなく、太陽光パネルが敷設される林野や農地の使用について定めた森林法などだと指摘した。
「たとえば、森林法第10条の2は問題のある条文だ。太陽光パネルといった再エネ開発を行う際には、都道府県知事が土地の使用を許可するのだが、許可に際しては『都道府県森林審議会及び関係市町村長の意見を聴かなければならない』とある。これは法律的には『形式的要件』と呼ばれるもので、すなわち、意見さえ聞けばいいのだ。その意見を反映させるか否かは、また別問題だ」
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