オピニオン 台湾を中共から守った日本人

1月13日台湾選挙、民主主義陣営の勝利が思い起こす一人の日本人、1949年、日本陸軍中将根本博(ねもとひろし)

2024/01/17
更新: 2024/02/09

 

 

中共(中国共産党)が誕生したとき、なぜ台湾は別の道を歩めたのだろうか?

それは、日本国民の多くが知らない、あるいは知らされていない日本人の関与があったという。

彼は、金門島における古寧頭戦役(こねいとうせんえき)に、実は参加していた。また、彼の献策が中共政府の中国人民解放軍の撃破に貢献したという。この敗北により、中共政府は台湾奪取による統一を断念せざるを得なくなり、今日に至る台湾の存立が決定的となった。

その彼と言えば根本博中将、1944年11月~終戦1945年8月まで駐蒙軍司令官であり、ソビエト軍の満州進行を防ぎながら在留邦人4万人と北支那方面の35万将兵の復員を無事終わらせた人物である。この時、戦時中はずっと敵であった国民党の蒋介石総統が、日本軍の引き揚げに協力的で、本来ならば自国の軍隊の輸送を最優先させなければならない鉄道路線を、可能な限り日本軍及び日本人居留民の輸送に割り当てた。

上記に加えて、当時、中国大陸にいた日本の軍人・軍属と一般市民は合計で600万人。それらの人々の日本への帰国に、蒋介石総統が尽力してくれたのだ。

やがて、中国では国民党の敗北が決定的となり、蔣介石が総統を辞任するという話を聞き、中国大陸での蔣介石総統から受けた恩義を忘れない根本博は、私財を売却して渡航費用を工面し密航を決意する。

昭和24年(1949)6月26日、釣りに行くと家族に言って根本は家を出たが、実のところは、 宮崎県延岡市の沿岸から小さなポンポン船に乗って台湾に向かった。そして7月10日、何とか基隆(キールン)に到着したのだが、密航者として捕まり、投獄されることになってしまう。しかし、根本博投獄の報告を聞いた国府軍上層部の彭孟緝(ほうもうしゅう)中将・鈕先銘(ちゅう せんめい)中将は大慌てで根本のところへ駆け付けた。

「根本が来てくれた」と涙を流して手を握ったという。

根本は第5軍管区司令官顧問中将として任命され、金門島での決戦が迫る中、塹壕戦(ざんごうせん)の指導を行い、決戦準備に備えた。そして金門島における決戦の時、戦いを指揮した根本は、上陸してきた中国人民解放軍を打破し、金門島を死守した。台湾側は、その後も見事に人民解放軍の攻撃を防ぎ、今日の台湾の存在が確定したという因縁があったのだ。

さて、台湾の選挙が1月13日に行われ、民進党の勝利に終わり、親米民主主義の台湾が続くことが決定した。中共首魁にとっては、内部に問題山積、いつ内乱が起きるかもしれないし、誰かに暗殺されてもおかしくない状況だ。

そんな時に、独裁者の判断力は鈍り、狂気の入り混じった思考になるかもしれない。最高権力者が自分の命の危機を感じて、闇雲に自ら作り出した暗闇を恐れているという状況が生まれているかも知れない。台湾選挙への介入を強化して、不安を煽ることに熱心であったが、中共寄りだった国民党が敗れた今、彼の不安は何に影響を及ぼすのだろうか? 南太平洋の島国、人口1万1千人のナウル共和国は15日声明を発表し、台湾と断交し、中国と国交を結ぶことが発表(NHK)されたが、その程度で彼の顔が立つはずもない。
 

金門島は大丈夫か?

グーグルマップから大紀元作成 金門島は中国本土から2.1㎞、台湾は200㎞。日本領、与那国島の近さもわかる。

米国や日本と直接戦火を交えずに、台湾や日本の国民に不安を与えるために、中国本土から目と鼻の先の金門島(福建省アモイ市のすぐ沖合に金門島という台湾領土の島)や日本領土の尖閣を攻撃する可能性はあるかも知れないと消息筋は予測する。つまり米国が参戦しにくい規模で、戦争するということ。首魁は、自分の国民の命より、自分の面子を大事にする。少なくとも、敵の領土を奪ったことになるので、面子は保たれると考えるのではないか。

中共は金門島だけを攻撃し、台湾も本土側の都市、厦門を限定反撃、ミサイル戦が行われる。とすれば、アモイ(厦門)はビル住宅が密集する都市だから、中共のダメージが大きくなるかもしれないが、首魁の面子は保たれるかもしれない。台湾本土より中共本土のほうが近いのだ。

金門島ならば、中国大陸側の支配地域とは最小2.1キロしか離れていない。今ではそこに、続々と中国人観光客が訪れるようになっており、中国の影響が強まっている。

かつ、最も重要な点は、金門島は現在非武装地帯となっており、かつて根本が指示して作り上げた塹壕戦用の防衛陣地が無くなっていることだ。

つまり、中共にとってはもっとも組みやすく、被害最小で領土を増やせるし、歴史的背景もあるので、首魁の顔も立つという場所なのである。

台湾への上陸作戦も、さまざまな専門家によりシミュレーションされている。

台湾は中国本土から200キロの距離があり、上陸部隊を運ぶのも大変だし、補給に難があるという結論だ。海も荒れるので、大艦隊を動かせるのは3月以降、春の訪れをまって、数か月間が上陸作戦には適していると言われている。あるいは秋か。

 

 

金門島はあまりに本土に近すぎて、米軍も台湾軍も不利である。ミサイルや航空機による爆撃、あるいは潜水艦による艦船攻撃が限界になるのではないか。

米台日軍としては、中共が金門島にこだわってくれるのなら、より広い視点での戦術に移行するだろう。他国の領土を侵略したのだから、相応の戦術的攻撃が効果を持つ。

台湾、日本、米国の潜水艦が、台湾海峡の通商破壊を実行。機雷の多数ある本土に近いところで戦わずに、海峡に出てくる中共船舶を沈めてゆくという戦術だ。

中共の現状の潜水艦は静粛性に問題があり、米国あるいは日本の潜水艦に発見されて攻撃されてしまう可能性が高いが、新型においては、西側から盗んだ技術を使い、西側と同等の性能を有する新型096型が出てくる可能性がある。しかし、これも中共の単なるプロパガンダ(嘘の性能)の可能性もある。虚と実を織り交ぜて、相手を攪乱するのは兵法の常道である。

すると戦いは、中共の準備が整う前が良く、相手の土俵で戦うのではなく、海中のみで戦うのが良いだろう。実戦になれば、虚は暴かれる。まずは中共のレーダーやミサイル、その他の性能が暴かれてからの戦術立て直しで、制空権、制海権を確保してゆく戦術が効果があるだろう。

それまでは、海面下だけで戦うのかも知れない。

 

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
若いころはHG/PGに明け暮れ、中年になると、アジア各国での日系工場の立て直しに実績有り。同時に小説をプロに習い、書き始める。 エポックタイムズ掲載:「UFOと老人」、「千代能比丘尼物語」、「時間を無くした男」 アマゾン出版:「南十字星の少女戦士」など。