メディア界の大物、黎智英(76歳)氏の裁判が香港で2023年12月18日に始まったとき、旧英国植民地の強権的な国家安全保障法のもとで、言論の自由が試される画期的な裁判となるとの声が上がった。
また、黎氏の息子の崇恩のように、これを見せかけの裁判と呼ぶ者もいた。
現在廃刊となっている蘋果日報を発行していた民主化派の黎智英(76歳)氏は、「外国勢力との共謀」と「扇動的出版物の共謀」で起訴され、 終身刑に直面している。
長く延期されているこの裁判は数か月に及ぶと見られており、1997年に英国が香港を返還した際に中国が合意した「一国二制度」の崩壊を示す顕著な例となっている、と観測筋は指摘している。 この取り決めの下で、国際的金融拠点の香港は、中国共産党支配下の中国本土では認められていない自由を含め、50年間にわたる高いレベルの政治的自治を約束されていた。
しかし中国は、特に2019年の民主化運動を受けて、その公約を反故にする姿勢を強めている。 中国が2020年に施行した国家安全維持法は、異論や政府批判を犯罪化し、黎氏のような活動家、政治家、ジャーナリストの逮捕、選挙権や言論の自由の後退につながった。
2023年が終わりに近づくにつれ、「香港の本土化」と呼ばれる事例が相次いだ。
ワシントン・ポスト紙が12月に報じたところによると、香港政府はブリンケン米国務長官が「報奨金リスト」だと非難したリストに5人の在外民主活動家を追加し、それぞれの情報に対して約1800万円(12万8000ドル)を支払うと提示した。 ワシントンC.の活動家で米国市民の邵嵐氏は、自分がリストに含まれたことは「国家安全維持法の域外適用」を示していると述べた。
約7か月を刑務所で過ごした民主化運動家の周庭氏はインスタグラムで、カナダに留学するために香港を離れることが許可された経緯を綴っている。 27歳の周氏は、自身の過去を放棄するか、市内に監禁されるかを求められたという。 フランス通信社が報じたところによると、周氏はこの取引に応じ、警察の付き添いで中国本土を訪れ、中国共産党に感謝の意を示すよう強要されたという。 周氏は、保釈には定期的に香港に戻ることが義務づけられているが、彼女は香港に戻るつもりはないと語った。 香港市の李家超行政長官は、周氏が当局に自首しない限り、一生追われることになるだろうと述べた。
ジャーナリズム団体は、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの記者の陳敏莉氏が、10月に開催された安全保障フォーラムのために中国を訪れた後、拘束されたのではないかと懸念を示した。 メディアの報道によれば、12月下旬の時点で、チャンからの連絡は11月中旬のフェイスブックへの投稿のみで、同紙は彼女が「個人的な休暇を取った」と伝えている。
ラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道では、民主的な野党を排除した12月の「愛国者限定」選挙での投票率は54%と過去最低を記録した。
ラジオ・フリー・アジアが11月30日に報じたところによると、禁止されている抗議スローガンが書かれたTシャツを着ていた26歳の男が、飛行機に搭乗する際に逮捕された。
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