台湾総統選まであとわずか 在外台湾人は帰還投票、若い票が集まる柯文哲氏が「変数」か

2024/01/10
更新: 2024/01/11

今月13日の台湾総統選挙が5日後に迫る中、各候補の支持率が小差の接戦となり、台湾全体が緊迫した状況にある。この中で、在外台湾人の票入れや、第3の候補である民進党の柯文哲氏が最後の変数として注目を集めている。

8日、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)などの海外メディアによると、これまで以上に選挙への関心が高まる中、中国在住で親中の台湾企業家などが今回の選挙のために大挙して台湾に戻って、投票することが伝えられた。

台湾は不在者投票を認めていないため、海外に居住している台湾人が投票するためには、直接台湾に戻って投票する必要がある。

ほとんどが親中系の国民党を支持する人々で、中国企業は投票のために彼らに選挙休暇も与えている。台湾は不在者投票制度がなく、すべての投票を台湾で直接行わなければならない。

ロイター通信、BBC放送などは、中国国籍の航空会社10社が今月中旬まで北京など主要都市から台湾台北行きの航空券を最大90%割引していると報じた。「台湾同胞証明書」を所持している人が対象だ。

中国に居住する台湾人は約100万人で、台湾全体の投票者1980万人の5%水準である。今回の選挙で1~2位の候補者の票差は5%前後という状況だ。これに対し、親中派の国民党は、彼らに帰国し投票への参加を強く呼びかけている。

米国をはじめ欧米在住の台湾人の中でも、投票参加のために帰国するケースはもちろん存在する。しかし、距離や費用などの問題で、中国在住の台湾人に比べてその数は少ないと予想される。

このような中、台湾全体の投票者の20%以上を占める20、30代の有権者の票は、第3の候補である民進党の柯文哲氏に流れる傾向にある。柯氏はSNSを介して支持者を動員し、若い世代が政府に不満を抱いていることを利用して、若者票を集めることに成功した。

他の2人の候補間の親米対親中というイデオロギー対決に疲れた若い世代の投票者は、生活環境の改善など現実的な政策を掲げた柯文哲氏に関心を寄せている。

政策コンサルティング会社、インターナショナルポリシーアドバイザリーグループのスティーブン・タン氏は、「柯文哲氏は、政治に関心がないものの、生活費や物価の上昇、その他の実用的な問題についてはより気にしている多くの台湾の若者たちの不満から恩恵を受けている」と述べた。

しかし、1月6日付の『日経アジア』の記事によると、彼の率直な発言は一部の有権者の支持を得たが、中国問題での曖昧さが、中国の侵略に対して柯氏がどのように防衛するのか、人々を不安にさせたと論じている。

2014年、柯氏は学生主導の「ひまわり運動」を支持し、当時の国民党政府に北京との経済協定案を断念させたが、今、「海峡両岸協定監督条例」を可決した後、中国との貿易交渉が可能になると語った。

「その後、物品貿易がサービス貿易に先行して、段階的に行われるはずだ」と柯氏は述べた。そして、中国は台湾にとって依然として最も重要な市場であると指摘した。

サウスチャイナ・モーニング・ポストは「柯文哲氏が若者の生活に影響を与える問題の解決を掲げた中で、主要政党に怒りを抱く20~39歳の若い有権者を中心に柯文哲氏の人気が高まっているという分析がある」とし、「これは台湾の2つの主要政党にとって懸念されるシグナル」と報じた。

一方、2日に発表された最後の世論調査の結果、民進党の頼清徳氏が33%の支持率で首位に立った。国民党の侯友宜氏が30%、民進党の柯文哲氏が22%の支持率をそれぞれ記録した。

徐天睿
エポックタイムズ記者。日米中関係 、アジア情勢、中国政治に詳しい。大学では国際教養を専攻。中国古典文化と旅行が好き。世界の真実の姿を伝えます!