台湾総統選挙が13日に予定されている中、中国共産党の選挙介入に対する懸念が高まっている。
台湾国防部傘下のシンクタンク、国防安全保障研究所のウー・チェンハン副研究委員は、エポックタイムズとのインタビューで「台湾選挙に介入しようとする中国共産党の試みにより、現在、台湾はサイバー空間で『最も危険な場所』になった」と明らかにした。
また、「人工知能(AI)技術や悪質なソフトウェアなどがサイバー攻撃に動員され、台湾は前例のないレベルの攻撃に悩まされている」と付け加えた。
その上で、「調査の結果、台湾企業は2023年上半期だけでも毎週平均3245件のサイバー攻撃を受けたことが確認された」と述べた。
米国に本社を置くサイバーセキュリティー会社、フォーティネットによると、同じ期間に台湾でサイバー脅威が「毎秒1万5千件」検出されたことが明らかになった。これはアジア・太平洋地域で最も多くの攻撃を受けた水準だ。
虚偽情報キャンペーン
ウー研究委員は「中国が台湾選挙に介入しようとする最も大きな理由の一つは、台湾内の分裂と混乱を引き起こすためだ」と述べた。
また、「中国共産党は虚偽情報を利用して人々の認識、態度、行動に影響を与えようとしている」とし、「台湾政府に対する国民の信頼を低下させる目的もある」と分析した。
ウー氏はかつて中国語圏のソーシャルメディアで広まった「台湾政府が日本の核廃棄物を台湾に輸入しようとしている」という主張に言及した。これは台湾政府を非難する世論を形成するために実施された虚偽情報キャンペーンの一環だった。
これについて台湾ファクトチェックセンター(TFC)は「微博、微信、フェイスブック、LINEなどのソーシャルメディアを通じて、虚偽の情報が速いスピードで拡散された」と明らかにした。
さらに「核汚染水が原因で日本のある政治家が死亡したという噂まで広まった。この噂は数年前からオンラインで言及され、恐怖を助長した」と付け加えた。
昨年8月、台湾の頼清徳副総統がパラグアイのサンティアゴ・ペーニャ・パラシオス大統領の就任式に出席するために同国を訪問した際にも同様のことが起きた。
パラグアイは南米で唯一の台湾の外交相手国である。ペーニャ大統領は昨年7月に台湾を訪問し、「今後5年間の任期中、台湾国民と共に歩む」と公言している。
ウー氏は「当時、台湾がパラグアイに無料住宅を建設するための資金を支援するというフェイクニュースが広まった」と指摘した。
「これは台湾政府に対する世論、台湾とパラグアイ間の関係を悪化させようとする意図が込められた虚偽情報キャンペーンだ」と伝えた。
また、「このような虚偽情報は、その出所を見つけるのが難しく、出所を確認したとしても、その時にはすでに大衆に大きな影響を与えた後という点で、さらに危険性が大きい」と付け加えた。
人民解放軍311基地
ウー氏によると、台湾を狙った中国のサイバー攻撃は、中国人民解放軍戦略支援部隊(SSF)と311基地(Base 311)が担当している。
特に、311基地は独自のメディア会社を保有しており、これを通じて台湾のメディア生態系に影響を与え、世論を操作しようとしている。中国華芸廣播電視台(CHBC)もこれに関与していることが分かった。
米国ワシントンに本部を置く非営利団体、グローバル台湾研究所は、「中国側のメディアは台湾について常に否定的な方向に報道し、政治的な議論と社会的問題を強調する」と分析した。
ウー氏は「台湾に対する中国のサイバー作戦は『中国共産党軍(PLA)の侵略』の主要戦略の一つ」とし、「中国共産党は自分たちが望む結果を引き出すために、サイバー作戦と一緒に他の物理的手段を動員することができる」と警告した。
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