「打倒中共」「習近平は退陣しろ」。先日閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)の期間中、米国を訪問した中国共産党(中共)の首魁・習近平に抗議する怒りの声は、反中共の大潮流となって、開催地であるサンフランシスコ中に響き渡った。
そのようななか、中共領事館は、赤い旗を振るサクラ役者のほかに、屈強な暴漢を雇って抗議者を襲わせ、多くの華人を負傷させたことがわかっている。
中国の家族に「抗議させるな!」と脅迫
17日にエポックタイムズの取材に応じた中国民主党全国委員会執行長で弁護士の陳闖創氏によると、「今回の抗議活動で、少なくとも40人の異なる団体の抗議者が殴打された。現地警察は、中共側の暴行者を逮捕していない」という。陳弁護士自身も抗議活動中に親共側の人員に襲われ、唐辛子スプレーを浴びせられた。
在米の中共領事館だけでなく、中国国内でも事前の動きがあった。
サンフランシスコでの抗議活動に参加しようとする華人の陳情民たちを抗議に行かせないため、ほぼ全員の陳情民について個人情報を掴んでいる現地公安が、それぞれの中国国内にいる家族や友人を脅迫した。「抗議活動に参加させるな!」と、海外にいる本人に、家族から圧力をかけるよう強要したのである。
なかでも、中共から「目の上のたんこぶ」と見なされてきた米国在住の著名な人権活動家・界立建氏は、中共から「殺害の脅迫」を受けているという。
抗議活動の発起人で、中国民主党合同本部の執行長を務める界氏は、中国国内にいる家族が現地警察によって警察署へ拉致されたという。それだけでなく、界氏本人も抗議活動中に何度も暴漢に襲撃され、首などを負傷している。
APEC期間中の16日午後、界氏は再度、中共側から襲撃を受けた。その際に、自衛の行動をとったことで、サンフランシスコ警察に逮捕され、現在は「保釈手続き中」である。19日23時時点で、保釈はまだ認められていない。
(サンフランシスコで抗議活動中の人権活動家・界立建氏)
「忠告を聞かなければ、殺す」
界立建氏によると「彼ら(中国の現地公安)は私の父親や叔母を警察署に拉致した。(私が)帰国するか、帰国しないのであれば大人しくしてろ、と家族は私に説得するよう要求された。彼らは、もし私が忠告を聞かなければ殺す、とも言った。そして、刺客が私の周囲にいることを示す写真を家族に見せた」と明かしている。
界氏はさらに「(サンフランシスコの)抗議現場には、ロサンゼルスの中共のリーダーである鹿強がいた。彼らは現場で私たちが掲げる旗とポスターを奪おうとした。それに対して私たちが自衛をすると、彼らは旗竿などで私たちを殴った」と続けた。
「星島日報」や「世界日報」など複数の中国語メディアの報道によると、中国僑連の華僑リーダーである鹿強は、習近平を「歓迎する」ため、南カリフォルニアなどから総勢800人以上の華人を連れてきたほか、現場での「秩序維持」に当てるため、完全武装の警備員10人を雇ったことがわかった。
さらに、複数の民主活動家は「中共領事館の職員が、現場で抗議者への襲撃を指揮していた」と口をそろえている。
弁護士の陳闖創氏によると「界立建氏は病院でケガの治療をした後、現地の警察によって拘留された。現在は、保釈の手続きをしている」という。
(米国警察に拘留中の界立建氏。ガラス越しの面会だが、Vサインで不屈の勇気を示した)
界立建氏の拘束について、1989年の六四天安門事件当時の学生リーダーで、今も米国で民主運動を続ける組織「人道主義中国」の代表・周鋒鎖氏は「彼(界氏)は、意図的に陥れられたと信じている。即時の釈放を呼びかける」と述べた。
界立建氏は過去にも、中国で陳情をしたために、中共当局により精神病院へ送られて迫害を受けた経験をもつ。
これまでにも、狙われて車にはねられたり、こん棒で襲われたりと、何度も命を狙われながら九死に一生を得てきた人物である。
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