「国家政権転覆扇動罪」により懲役4年の実刑判決を受けて、現在も服役中である反体制詩人・王蔵氏(本名:王玉文)。その獄中での様子は、これまで外部に知られることはなかった。今月22日、その妻の王麗氏(本名:王利芹)がようやく沈黙を破り、夫の身を案じながら、涙ながらに語った。
この日、王麗氏は刑務所で夫と面会した。しかし、2人はガラス越しで、しかも電話を通じて話すしかない。もちろん、電話による2人の通話は刑務官に盗聴され、録音もされているはずだ。
王麗氏は「夫(王蔵氏)は家族と近距離での接触ができないなど、獄中で『特別な扱い』を受けている」という。その原因は、王蔵氏が今も屈せず、罪を認めることを拒否しているからだと妻は考えている。
王麗氏は米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、「夫の日常生活は厳しく制限されている。獄中での消費も金額を制限されるなど、特に管理が厳しい。朝6時に起床してから夜10時まで作業しなければならない」と語った。
王麗氏が、夫の刑務所での様子を外部に話したのは、今回が初めてだという。妻である王麗氏は「刑務所から『外部に口外するな。さもなければ(夫と)面会できなくなる』と警告されている。しかし、私が沈黙しても、夫の獄中の待遇は改善されなかった」として、ついに沈黙を破って、話すことにしたという。
かつてエポックタイムズの取材に応じた際に、王麗氏はこう語っている。
「私自身が以前に体験した刑務所での生活を振り返ると、今の夫の身体の状況が非常に心配になる。夫と同じ刑務所で服役したことのある友人から『刑務所内の環境は劣悪。食事も、とにかくひどい。毎日、いろいろな訓練をさせられて、死ぬより辛い日々を皆が生きている』と聞かされた」
王麗氏は「夫が毎日虐待されているかもしれないと思うだけで、心が張り裂けそうになる」と声を詰まらせ、涙ながらにこう訴えた。
「王蔵(夫)は優しく、まっすぐで、良知のある作家だった。私も王蔵も終始、自分たちは無実であることを信じている。王蔵のしたことは全て正義だ」
王蔵氏(1985年生まれ)は詩や歌などの芸術を通して、中国共産党による暴政への抵抗を提唱する北京出身の芸術家である。同氏は、長年にわたり人権活動や民主化運動に積極的に参加するとともに、当局による法輪功弾圧にも反対してきたため、ずっと警察による監視や嫌がらせを受けてきた。
王氏夫妻は2020年、雲南省当局によって逮捕された。その2年後、2人とも「国家政権転覆扇動罪」の罪で、それぞれ懲役4年(王蔵氏)と懲役2年6カ月(王麗氏)の実刑判決を受けた。
王麗氏は2022年12月に満期で釈放されたが、当局による監視と脅迫は今も続いている。夫妻の間には、まだ幼い4人の子供がいる。
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