安い部屋でも10万円以上、最高級の部屋なら1泊で約530万円もする(10月14日時点)上海の高級ホテル「ブルガリホテル上海」。
この最高級ホテルがまもなく公売に出されることが、所有企業の告知で明らかになった。売却金は、同企業の負債の返済に充てられるという。
2018年6月に開業した同ホテルは、中国の中央企業(国有企業のうち中央政府の管理監督を受ける企業)が所有するもので、上海の著名な観光エリア「外灘」から830mという立地にある。
今回、売りに出されることになった背景には、新型コロナのパンデミックや中国経済低迷の影響のほか、中国当局が躍起になっている「国民参加型の反スパイ活動」の反動により「外国人の客足が遠のいたことと、関係があるのではないか」と指摘する声が広がっている。
中国当局が発表したデータによると、今年上半期に、中国の旅行会社が受け入れた外国人観光客の数は、2019年同期比の5.58%に過ぎない。つまり、90%以上のマイナスなのだ。
中国では、今年7月より「反スパイ法」が施行された。それによってスパイ行為の適用範囲が拡大されるとともに、摘発機関の権限も強化されたうえ、国民にも通報(密告)を奨励している。
そのため、国際社会からは、この法律がいくらでも恣意的に運用される恐れがあると懸念されている。
それは同時に、中国に在留および旅行もふくめて一時滞在する外国人の間にも、不安を広げる結果となった。そのことが、外国人観光客が激減した一因にもなっているとみられている。
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