英国政府は6日、英国に不法入国した移民を雇用している雇用主に対し、不法移民の従業員1人につき最高6万ポンドの罰金、また賃貸人に対し、不法移民の賃借人1人につき最高1万ポンドの罰金を科す措置を発表した。罰金額を2014年の3倍に引き上げ、厳罰化することで移民問題に対処する。
英当局によると、新たな措置は今年秋に法改正を経て、来年初頭に施行される見通しだ。
不法移民の雇用に関する罰金額は、初犯の場合は不法移民の従業員1人につき最高4万5000ポンド、再犯の場合は6万ポンドに引き上げられる。物件に関する罰金額は、賃借人1人につき1000~1万ポンド(再犯の場合は3000~20000ポンド)、宿泊者1人につき最高5000ポンド(再犯の場合は500~最高1万ポンド)となる。
不法移民の雇用に対する罰金は2006年に労働党によって導入され、2014年に住宅所有者にも罰金が科されることになった。
英内務省の報道官は、今回の措置について「2014年以来最大の民事罰の変更」であると表明。3倍相当まで引き上げられた。英政府は、不法移民の問題について「不法就労や賃貸」が主な要因の一つとみており、不法移民をめぐり対策のさらなる強化を図りたい考えだ。
ロバート・ジェンリック移民担当相は、 移民の不法就労を止めるには「危険で不必要な小型ボートによる渡航を抑止する」必要性を強調した。
「不法就労や不法賃借を許すような不誠実な賃貸人や雇用主は、悪質な密入国者のビジネスモデルの継続を可能にしている」とし、「適切なチェックを行なわない言い訳は通用せず、違反者は今後、大幅に厳しい罰則を受けることになる」と述べた。
雇用主および賃貸人は、英政府のウェブサイトで従業員や入居者をチェックし、身分証明書のコピーを作成することが義務付けられている。
2018年以来、賃貸人に対して罰金が科された件数は320件以上(総額21万5000ポンド相当)、雇用主に対して罰金が科された件数は5000件以上(総額8840万ポンド相当)にのぼるとみられる。
不法移民をめぐっては、英政府の統計データによると、英仏海峡を小型ボートで渡ってきた密入国者は昨年4万5700人を超え、渡航者の急増に頭を抱えている。こうしたなか、今年3月スナク政権は不法入国者を追放する厳しい対策法案を発表。英国に違法に入国しようとする者を拘束し国外追放にするほか、永久的に再入国を禁じ、難民申請も認めないとする条項を含んでいる。
今年初めには不法移民が銀行口座にアクセスすることを防止するため、当局と金融業者間のデータ共有を行った。ジェンリック氏によれば、対策の強化によって不法就労に関する逮捕者の数は今年前半、すでに昨年の総数を超えたという。
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