先月末より続いた豪雨のため、北京市・天津市・河北省では大規模な洪水が頻発している。ダム放水を事前通知されなかった涿州市(河北省保定市の県級市の一つ)では、住民が避難する間もなく市内の広い範囲で水没。取り残された住民は、2階の窓枠にしがみついたまま夜を明かし救助を待つなどの危機的な状況になった。
8月1日深夜(2日未明)緊急の避難勧告を受けた河北省保定市の住民は、前代未聞の大脱出を敢行した。
保定市の住民は突然の避難通知に驚き、パニックに陥るなか、ともかく涿州市のような事態を避けるため、自家用車に家族を乗せて市外へ出ることを急いだ。ところが、向かった高速道路の料金所では、通常通りの手順で1台ずつ料金を徴収したため、料金所までの道で大渋滞が発生した。
高速道路の管理部門は後に「上層部からの通達がなかった」と弁解したが、世論の怒りは収まらない。
中国メディアによると、豪雨と同省涿州市での洪水の影響により、保定市の河川が氾濫する危険が生じたため、2日午前零時ごろ、低い地域に住む白溝新城付近の住民に対し緊急避難勧告が出された。
この通知を受け、多くの住民は、真夜中であるにもかかわらず車に乗り、地元の「白溝料金所」から市外へ出る高速道路に乗ろうとした。ところが、市内から料金所までの間、すさまじい大渋滞が起きたという。道路上の車の長蛇の列をスマホで撮影してSNSに投稿する市民も多く、ある市民によると「2時間以上も渋滞したたま、立ち往生している」と明かす。
その後、この大渋滞を作った原因は「この非常時であっても、平常通り1台ずつにカードを発行(料金徴収)していたからだ」ということに、多くの人が驚かされる。この件をめぐり、ネット上には避難の声が殺到した。
「なぜ、このような非常事態においても、料金所はゲートを解放して避難する地元住民がスムーズに通行できるようにしないのか」「料金所の管理部門は、いったい何を考えているのか。人命より通行料のほうが大事だというのか」
世論のバッシングをうけ、中国メディアが問題の高速道路の管理部門に取材したところ、返ってきた答えは「上層部からの、無料通行許可の通達を受けていないから」だった。
この的外れな答えを聞いて、ネットユーザーの怒りはさらにヒートアップする。「人命に関わる重大かつ緊急な事態だ。それが、なぜ分からないのか?」などと相次ぎ反論しており、怒りが収まらない様子だった。
以下の動画は、大渋滞当時の様子を映したもの。
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