メタ社、新アプリ「Threads」が欧州で厳格な規制 プライバシー問題が原因?

2023/07/13
更新: 2023/07/13

ツイッターの類似アプリ「Threads」は7月6日、EU加盟国を除く全世界でサービスを開始した。

インスタグラムと連動したこの新しいアプリは、現在100か国で利用可能だが、今のところ欧州連合(EU)でのサービス開始の予定はない。これはおそらく欧州地域のプライバシー規制が理由と考えられている。

EU市民のデータ処理に対する懸念がに非常に強いため、メタ社はここ数か月間、同地域のデータ保護監督機関から罰せられている。

これまでのところ、メタ社はEU法に関するとされる問題について公式にはコメントしていないが、ブリュッセルの主要なプライバシー執行機関であるアイルランド規制当局によって積極的にブロックされていない。

同社は、データ保護に関する厳格な規則のため、EUでアプリをリリースする方法を考えているようだ。

EU個人情報保護規則はthreadsの抑止力に見える

欧州で、FacebookやGoogleなどの、オンライン「ゲートキーパー」プラットフォームがどのように機能するかについて新たな規則を施行する、EUの次期デジタル市場法(Digital Markets Act)を考慮する必要がある。

ソーシャルメディア企業が欧州委員会からゲートキーパーの地位を承認される方法に関する詳しいガイダンスは、9月に発表される予定である。

一方、EUにおけるメタ社に対する最近の裁判の判決も、アプリのリリースが遅れている背景にあるようだ。

EU当局は1月、ターゲティング広告を配信するために、メタ社が欧州のフェイスブックとインスタグラムのユーザーの個人データを処理するために使用していた法的根拠は違法であると述べた。

メタ社は4億3500万ドル(約618億円)相当の制裁金を科され、判決を不服として控訴した。

その後、欧州司法裁判所(ECJ)は7月4日、メタ傘下のフェイスブックが「正当な利益」を理由にユーザーデータを使って広告を出すことを認めないという決定を下した。これにより、メタ社のターゲット広告モデルは事実上停止した。

ECJはまた、EUの監視団が独占禁止法調査においてテック企業のデータプライバシー侵害を考慮することができるという裁定も下した。

これらの決定は、メタ社のビジネスモデルの基盤や、米国の大手テック企業全般に対するいくつかの法的攻撃の一部である。

メタ社はまた、EUから米国へのフェイスブックのユーザーデータの転送を禁止され、5月に欧州のプライバシー規制当局による取り締まりの後、13億ドル(約1847億円)の罰金を科せられた。

現在、同社はこの決定を見直すために裁判所への手続きを進めている。もし裁定が維持されれば、その決定はEUでのフェイスブックの終焉を告げる可能性がある、と米メディアQuartzが報じている。

一部の人はすでにThreadsに違法アクセス

メタ社がEUから締め出されたにもかかわらず、すでに多くのEU市民がいくつかの回避策を使ってThreadsを使用している。

これは、メタ社がそれを避けるつもりであったとしても、EU市民のデータを処理していることを意味する。

一部の方法には、EU圏外のアプリストアのアカウントにアクセスしたり、Google Playストア以外のAndroid端末にサイドロードしたり、仮想プライベートネットワークを使用するなどの方法がある。

「メタ社がEUでThreadsを立ち上げなかったのは、(Threadsの)立ち上げのビジネスケースよりも、欧州の規制について主張するためだ」と、メディア調査グループのエンダーズ・アナリシスのナイアム・バーンズ氏は「ハリウッド・リポーター」に語った。

バーンズ氏は、新しいアプリのセットアップはインスタグラムとThreadsを束ねて「固定の観客」を作り出し、インスタグラムを削除せずにThreadsのアカウントを削除することを許さないと述べ、これは「欧州規制当局が嫌うようなことだ」と指摘した。

批評家たちは、Threadsのプライバシーポリシーが、ターゲットを絞った広告をより促進するために、位置情報、雇用、閲覧履歴、健康状態や財務データに至るまで、ユーザーのすべてを追跡するように設計されていることを認めていると警告している。

データは「サービス提供者」および「分析パートナー」、別名第三者広告およびマーケティング会社に送信される。

実際に、これらの要素はEUのプライバシールールに完全に違反している。

高まるライバル関係

ツイッターのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)とメタのマーク・ザッカーバーグCEOの対立は、マスク氏がライバルのThreadsが視覚的にツイッターに酷似していることに気づいたことで、ますます緊迫している。

ザッカーバーグ氏は、ツイッターへの対抗策としてThreadsを作り、自分のアプリが、マスク氏がプラットフォームを買収した後、改善と混乱の両方が見られたプラットフォームの代替になることを望んでいると述べた。

ザッカーバーグ氏によると、Threadsはリリース後24時間で3千万人以上が登録した。

ABCニュースによると、Thread開始数時間以内にマスク氏はザッカーバーグ氏を訴えると脅し、7月6日にツイッター社は新しいソーシャルメディアアプリをめぐってメタ社に停止・中止の通知を送った。

ツイッター社は、メタ社がソーシャルメディア・プラットフォームの企業秘密にアクセスできる数十人の元ツイッター従業員を雇用していると非難し、Threadsを 「模倣アプリ」と呼んだ。

ツイッター社の代理人であるアレックス・スピロ弁護士は、メタ社がThreadsを開発するためにツイッター社の元従業員を雇い、「ツイッター社の企業秘密やその他の知的財産の組織的、故意、違法な横領」に関与したと非難した。

メタ社はこれらの従業員に、「競合アプリの開発を加速させるためにツイッターの企業秘密やその他の知的財産を使用させるという特別な意図をもって、数か月のうちにメタの模倣アプリ『Threads』を開発させた」とツイッターの法務チームは主張。

訴えを起こした数日後、ツイッターのCEOはザッカーバーグ氏を攻撃し、”ザックはクソだ(Zuck is a cuck.) “と投稿した。

メタ社側はThreadsに声明を投稿し、「Threadsのエンジニアリング・チームに元ツイッター社員はいない」と述べた。

米国の著作権法はアイデアを対象としていないため、裁判になった場合、ツイッターは知的財産が盗まれたことを証明する必要がある。

ティックトックの20秒の短編動画フォーマットによく似たインスタグラムのリール機能が2020年に発表されるなど、メタ社がライバル製品をコピーしたのは今回が初めてではない。

エポックタイムズはメタ社にコメントを求めている。