自民党の有村治子参議院議員は15日、国会審議中のLGBT法案をめぐる米エマニュエル駐日大使の発言は「国会を愚弄」するものであり、その「不遜な態度」は日米関係に悪影響を及ぼすと強く批判した。大使の「不必要なまでに挑発的な言動」に多くの与野党の議員が疑義を呈しており、世論誘導を警戒する声が出てくるのも「無理からぬこと」だと述べた。
政府答弁によると、米国では連邦レベルでのLGBT立法はなく、逆に複数の州では反LGBT法案が成立している。有村氏はこのような現状に対し、エマニュエル氏が本国で実現できていない法律を日本に強く迫るのは「外圧、世論誘導、影響工作として警戒する声が出てくるのも無理からぬこと」と指摘した。
エマニュエル氏が「日本は進化の過程にある」「公明党のリーダーシップによってLGBT法案は来週には成立見込み」と発信したことについて、有村氏は、日本の国会を愚弄していると批判。「日本は他国の支配や干渉を受けずに主権を維持する必要がある」と訴えた。さらに、「日本を見下す評定をするような不遜な態度は、日米関係を大事にしたいと思う国民思想を逆撫でし棄損する」ものだと語った。
これに対し外務省は、エマニュエル氏の発信は承知していると述べつつ「国民の信頼のもとしっかりと外交に取り組む」と述べた。また、G7各国では性的指向や性自認を事由とした差別に特化した法律は「把握していない」と答弁した。
米大使館はエポックタイムズの取材に対し、性的マイノリティと差別に関する大使の見解は公式リリースやSNSでの発信の通りだと答えた。国会で取り上げられたことについては「確認はできていない」とコメントを控えた。
この日の参議院内閣委員会でLGBT法案が賛成多数で可決すると、エマニュエル氏は「LGBTQIプラスの権利に向けた着実な進歩は今日も続いている。参議院委員会の投票は、議会のリーダーシップが平等と包摂にコミットしていることを、日本そして世界に示している。明日、議会は歴史を作る」と、同法案の成立を予見するツイッター投稿を行なった。
エマニュエル氏はかねてから同性婚や性的少数者の権利保護に積極的な姿勢を示してきた。4月には東京で開催された「東京レインボープライド2023」に参加したほか、15か国の大使館等と協働して、LGBT理解増進法案を推進するよう日本政府と議会に呼びかけた。
LGBT法案について先鋭化する大使の言動について、有村氏は日本政府に対し、「しっかりと独立国家としての矜持を持って毅然と向き合ってもらいたい」と求めた。
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