中国製太陽光パネルの「迂回輸出」阻止へ 米超党派議員が審査権発動

2023/05/03
更新: 2023/05/03

バイデン政権東南アジアで生産された太陽光パネルに対し関税免除措置を講じているが、中国企業が制度を悪用し「迂回輸出」を行っているとして、米国の超党派議員は阻止を試みている。米国内市場に占める同地域のシェアは8割に達し、SDGs政策の一環として太陽光発電を推進するバイデン政権は強く反発している。

下院では4月28日、東南アジアから輸入される太陽光パネルへの関税免除措置に反対する決議が成立した。同様の決議案が上院でも可決されればバイデン政権の免除措置を停止できるが、成立には大統領の署名が必要だ。

マレーシア、ベトナム、カンボジア、タイの4カ国から輸出される太陽光パネルは、米国内需要の8割を占めている。バイデン氏は昨年6月、電力供給のひっ迫と太陽光パネルの供給不足に関して緊急事態を宣言、4カ国で生産された太陽光パネルに対し、2年間の関税免除措置を講じるよう商務省に命じた。

中国製太陽光パネルは市場において高いシェアを有するものの、強制労働への加担防止と国内産業の保護の観点から、米国はアンチダンピング税(AD)や追加関税、緊急輸入制限措置(セーフガード)を相次いで発動し、輸入を制限してきた。

いっぽう、中国で生産された太陽光パネルの部品を東南アジアに輸出し、現地の中国企業が組み立ててから米国に出荷する「迂回輸出」の問題が顕在化している。米商務省は2022年12月、関税免除措置の対象となる4カ国で操業する企業8社を調査したところ、うち4社は米国の追加関税を回避する狙いで、中国製品にわずかな加工を加えていただけだったと発表した。

このような現状に対し、共和・民主両党の議員は、国内産業の保護が最優先であり、中国企業の関税回避を助長すべきではないと考えている。行政に対する審査権を定めた「議会審査法(CRA)」に基づき、関税免除措置の撤廃を推進している。

下院で決議を提出したビル・ポージー議員は声明で「中国共産党は世界貿易システムを破壊して競争優位性を高めようとしている」と指摘。「こうした不公正な貿易慣行を実施する中国共産党が米国の製造業を衰退させることを許してはならない」と強調した。

上院版の決議を率いるリック・スコット議員も「バイデン氏の関税政策は、児童労働や奴隷労働を行っている多くの中国太陽電池メーカーを保護し、米国の貿易法を回避することを可能している」「(中国共産党の責任を追求するには)断固をした手段を講じる必要がある」と述べた。

複数の民主党上院議員も法案への支持を表明しており、同様の決議が上院で採択される可能性もある。

これに対し、バイデン政権は拒否権の発動を示唆している。ホワイトハウスは声明を発表し、関税政策の撤廃を求める下院決議に反対した。そして、バイデン氏は米国における太陽光関連産業の雇用拡大を支持していると記した。

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