最近、偽造の疑いがある300以上の論文が権威ある国際学術機関によって撤回された。撤回論文のほとんどは中国からのものだという。中国の「論文不正」の問題が改めて焦点となっている。
米国計算機学会(ACM)はこのほど、「偽造の疑いがある」として同データベースから323本の論文を撤回した。論文撤回監視サイト「リトラクション・ウォッチ(Retraction Watch)」が報じた。
今回撤回された論文は、「情報管理と技術に関する2021年国際会議(ICIMTech 2021=8月19、20日、インドネシアで開催)」で発表された全ての論文である。論文は米国電気電子学会(IEEE)のデータベース「IEEE Xplore」にも掲載されている。
中国メディア「澎湃新聞」によると、問題の論文はほとんど中国の著者によるものであり、著者の中には華東理工大学や中国農業大学などの一流大学に所属する学者もいるという。
止まらぬ論文不正
ACMは数カ月前にも2018年の「情報隠蔽と画像処理に関する国際会議(IHIP)」の論文を26本撤回していた。
ACMがIHIPに問い合わせたところ、「論文の査読は北京の企業が担当している」という。のちに北京企業から査読に関する文書を入手したが、「偽造と思われる」と記されている。
ACMの数カ月に及ぶ調査期間中、撤回された26本の論文の著者らは調査に応じなかった。
毎年ACMから授与される「チューリング賞」はコンピュータ技術関連分野では「ノーベル賞」に匹敵する権威ある賞である。
中国の論文売買産業チェーン
中国には研究論文の偽造を組織的に請け負う地下の「論文工場(ペーパーミル)」が以前から存在している。
中国紙「長江日報」によると、09年に論文工場の売り上げは控えめに見積もっても10億元(約130億円)に上る。
「リトラクション・ウォッチ」も17年に、「撤回された中国の偽論文は他のすべての国と地域を合わせた数よりも多い」と指摘した。
英科学誌「ネイチャー」は昨年3月、中国の「論文工場」で偽論文が大量生産されており、中国の勤務医が発表する偽論文の本数は、この20年で「50倍」に急増したと明かした。
米科学誌「サイエンス」が13年に発表した調査報告によると、中国の偽論文の値段は数十万から数百万円だという。
(翻訳編集・李凌)
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